ZOZO球団は実現可能なのか?
だが、一方で、うがった見方もある。前澤氏は「ZOZO球団について、皆様からたくさんのアイデアやリクエストをいただいています。感謝です。一つ一つを見逃さないためにも新ハッシュタグ《#ZOZO球団に一言 》を作りましたので、こちらをつけて皆様の熱い投稿をいただけると有難いです。ちなみに当社の社名は10月1日より株式会社ZOZOに変わります」と、社名変更をアピールすることを忘れていなかった。 この宣言は、10月1日からの社名変更に合わせて、そのブランディングを浸透させるためのマーケティング戦略のひとつかもしれない。オフにZOZO球団構想を発表するだけで広告効果はある。 では、買収ではなく新規参入の可能性はどうなのだろうか。 1球団の新規参入となると、13球団では日程の組み方に無理があり、もう1球団を加え最低2球団の新規参入とフランチャイズを計画せねばならない。そうなると“ZOZO”単独での動きでは限界がある。どこかもう1球団の新規参入をもくろむ企業に目処をつけ連動して計画を推し進めていく必要がある。 ライブドアの社長時代に新規参入を仕掛けたホリエモンこと、堀江貴文氏は、「というわけでひっそりと動いている16球団化のキーマンを前澤さんに紹介しときましたよ。四国アイランドリーグベースに一球団、BCリーグベースに北信越に一球団、静岡に一球団、沖縄に台湾と米軍連携で一球団っていいと思う...…」と、前澤氏への応援ツイートを発信した。 2014年にアベノミクスの次なる成長戦略として自民党が提案した「日本再生ビジョン」に盛り込まれていた「プロ野球16球団構想」が、そのベースにある。残念ながら、閣議決定には至らず、政府発表の新成長戦略からは外されたのだが、前澤氏の「球団持ちたい」発言が、ロッテの買収ではなく、エクスパンションを含めた球界再編構想であるのならば、それはそれで問題提起としてはおもしろい。 前出の元横浜DeNA社長の池田氏は「夢のある話だ」と賛同しながらも現実論としては否定的だ。 「前澤氏のツイッターでの発言の意図が球団拡張にあるのか、球団買収になるのか、わかりませんが、前者であれば、夢のある話だと思います。だが、球団を増やすとなると、奇数球団では日程が組めず、偶数球団の参入でなければ難しい。現状、日本のプロ野球のビジネススタイルは、各球団依存の観客動員型から抜けだせておらず、メジャーのように収支の構造を変化させながらリーグ全体の売り上げをアップさせるという方向には、まだ向かっていません。そうなると地域をキーワードにしても複数球団を増やすという環境には、まだないのかもしれません。また政治主導で、そういう話が出ても前へ進まないという現実があります。しかも、私は、中にいた人間なのでよくわかりますが、まだまだプロ野球界は、いろんな面でクローズされた野球“界”なのです。本気で新規参入を考えるのであれば、世論を味方につけるだけでなく、プロ野球“界”の協力を得るための努力をしなければ難しいでしょう」