ZOZO球団は実現可能なのか?
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイの前澤友作社長(42)が17日、唐突に球界参入構想をぶちあげた。同日正午に前澤氏が「【大きな願望】プロ野球球団を持ちたいです。球団経営を通して、ファンや選手や地域の皆さまの笑顔を増やしたい。みんなで作り上げる参加型の野球球団にしたい。シーズンオフ後に球界へ提案するためのプランを作ります。皆さまの意見も参考にさせてください。そこから一緒に作りましょう!」とツイートしたもの。前澤氏はロシアW杯決勝を現地観戦、帰国後、足を運んだ、つま恋での野外音楽イベント「ap bank fes」にも感化を受けたようで、「スポーツと音楽が人と人を繋げ、国境や人種や性別を超え、僕たちに夢や希望や力を与えてくれる。素晴らしい、もっと感じていたい、もっと深く携わりたい。そんなことを強く思い、どうしても公言したい【大きな願望】があります。このあと正午12時にツイートします!」と、数時間前に予告して、この衝撃ツイートを行っている。 このツイートだけでは、プロ野球球団を持つ手段が 買収なのか、新規参入なのか、不明だが、なぜ“ZOZO”はプロ野球参入を宣言したのか、そして、その実現の可能性はどうなのか。 元横浜DeNA社長で球団買収に携わった池田純氏は、新興企業の球団買収には、大きな企業メリットがあると言う。 「なぜ、このタイミングで、こういう発言をされたのかと唐突に感じますが、時代は変わり、企業が球団を持つ意義や目的も変化しています。その役目を終えた企業があり、交代でDeNA、ソフトバンク、楽天という企業が参入してきて、社会認知度と信用度をアップさせ、企業価値を高め、地域との密着、協力体制を整えて事業としても成功させました。本業が大きく成長しているスタートトゥデイのような企業が球団を持ちたいと考える意図は、時代の流れとして理解できます。間違いなくプロ野球の経営も新しい時代に入っていますから、斬新な思考回路を持っている企業が参入することで、さらに球界が活性化する期待感はあります」 企業の規模で言えば、2018年3月時点の決算で、スタートトゥデイは、売り上げ高が約984億円と1000億円に迫る勢いで、営業利益は約326億円。DeNAの本体は同時期の売り上げ高が、約1393億円で営業利益が、約275億円だから、大きく見劣りするわけでなく、たとえ買収する場合に球団譲渡金として100億円規模の資金が必要になるとしても十分に球団経営が可能な体力があると見ていい。 しかし、買収となると売り手がなければ成立しない。買収提案のテーブルに乗りそうな球団がなければ、絵に書いた餅である。どの球団の経営実態も、本社からの宣伝広告費という名の補填があるので“本当の数字”は、わかりにくいものになっているが、球団単体の運営で余裕のある黒字運営ができていないのは、セ・リーグでは、中日とヤクルト、パ・リーグではオリックス、ロッテ、西武だと言われている。2016年から“ZOZO”が、千葉マリンスタジアムのネーミングライツを買い取り、しかも“ZOZO”は千葉に本社と流通拠点を持っている。買収の場合“ZOZO”の本命が千葉にあるロッテと目されるのも無理はない。この日、ロッテの山室球団社長は、全面否定の談話を出したようだが、これも球団トップとして当然の対応である。ただ、親会社のオーナーの発言ではないので、この談話の信頼度も、それほどはない。 ただ“ZOZO”のターゲットが、どこかの球団買収であるのならば、先に企業のトップが、それを言及してしまうことなどありえない。前澤氏は、従来型の経営者ではないので、新しい形の参入スタイルを模索しているのかもしれないが、この発言の意図は、新規参入を念頭においたものと考えた方がよさそうだ。