「鉛筆削り器」の思い出~手回し式そして電動の登場!筆記具の記憶を旅する
シャープペンシル時代の到来
その後、シャープペンシルが登場して、鉛筆から主役の座を奪っていった。文房具店でも、数々のシャープペンシルが並び、それぞれに「0.3ミリ」「0.5ミリ」「0.7ミリ」と芯の太さの表示も加わった。替え芯も別に用意されていて、鉛筆のように"削る"必要がなかった。ノックする部分には小さいながら消しゴムも付いていた。シャープペンシルは、それ1本あれば、筆記具の役割を十分に果たすようになった。そんな"ニューフェイス(新顔)"に押されながらも、もちろん鉛筆には鉛筆の良さがあった。芯も折れにくく、鉛筆にしかない"書き味"がある。これからも鉛筆が重宝され続ける限り、「鉛筆削り器」も進化しながら存在し続けるのであろう。
象がふんでもこわれない!
鉛筆やシャープペンシルなど筆記具に関連して、筆入れの思い出も鮮明だ。筆入れにもセルロイド製やプラスチック製など種類があり、消しゴム、定規、そしてコンパスなどを一緒に入れて学校に通ったが、懐かしいのは「アーム筆入れ」である。この商品名が忘れられないのは、コマーシャルで流れた、あの有名なフレーズによるものだろう。 「象がふんでもこわれない!」。 実際にテレビ画面で、象がプラスチック製の筆箱を踏む、しかし、それでも割れていないという驚きの映像を見た時は、翌日すぐに、文房具店に買いに走ったものだった。「ポリカーボネイト」という衝撃に強いプラスチックが使用されているものだと、後になって知った。発売元のサンスター文具株式会社の公式ホームページによると、1965年(昭和40年)の発売以来、現在でも製造販売されているそうである。「アーム筆入れ」健在なり。 鉛筆、鉛筆削り器、シャープペンシル、そして筆入れなど、文房具たちの思い出は尽きない。大人になってからも訪れる文房具売り場に、今でも心をワクワクさせる人は多いことだろう。もちろん、私もそのひとりである。 【東西南北論説風(485) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】 ※『北辻利寿のニッポン記憶遺産』 昭和、平成、令和と時代が移りゆく中で、姿を消したもの、数が少なくなったもの、形を変えたもの、でも、心に留めておきたいものを、独自の視点で「ニッポン記憶遺産」として紹介するコラムです。
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