筋肉には“半熟卵”がベスト! 生はNG! 1日10個でもOK! 「誤解だらけの卵」の真相を筋肉王が解説
山本義徳の「筋肉キングダム」●どんな人間でも筋肉がなければ生活は成り立たない。そう、我々は誰もが筋肉の子供なのだ。集いたまえ、ボディビル世界王者・山本義徳の筋肉王国へ。そして学ぼう、筋肉のメカニズムを。 ボディビルダーの世界大会で優勝経験を持つ山本義徳さんに教えを請う新連載『筋肉キングダム』。効率よくトレーニングするには正しい基礎知識が欠かせないが、まことしやかに語られる情報には、実は誤解も少なくないらしい。 ということで、教えてください山本先生! 筋肉王プロフィール 山本義徳●日本人で初めて米国のボディビル世界大会で優勝。ウエイトトレーニングを始めたきっかけは、高校ラグビー部を描いた伝説のドラマ『スクールウォーズ』の影響。現在はプロトレーナーとして、プロ野球選手などのアスリートを指導している。2019年4月、YouTubeチャンネル『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設。 ■「卵は1日1個まで」は盲信だった!? 初めまして、山本です。私が40年前から学び、蓄積してきた筋トレに関する知識を、連載形式でお届けします。記念すべき第1回は「卵と筋肉の関係性」についてお話しましょう。 「1日にいくつ、卵を食べていいんですか?」という質問を受けることがよくありますが、単刀直入に言うと、何個でも大丈夫です。 こう答えると驚く人が多いですが、過去に国立栄養研究所が卵を1日に10個、1カ月間食べ続ける実験を行ったところ、懸念されていた健康被害はなく、むしろ被験者が健康になった事例もあります。 「卵は1日に1個まで」は盲信だったんです。それは、2015年に厚生労働省が「食事摂取基準」からコレステロールの上限値を撤廃したことからもわかります。 昔は、1日に摂取すべきコレステロールは1日300mgまでとされていました。卵1個あたりのコレステロール含有量は250mgなので、1個だけでほぼ上限に達してしまう。だから1日1個までが流布されてきました。 でも、食事から摂るコレステロールは体内のコレステロール値にほとんど影響を与えないことがわかりました。それがコレステロールの上限値が撤廃された理由です。 ちなみに、私は1日に6個は卵を食べています。 ■卵の「プロテインスコア」は100点! 「プロテインスコア」という言葉を聞いたことがありますか? これは食品に含まれるたんぱく質の品質を評価する指標ですが、基準が厳しすぎたために、現在は基準を緩くした「アミノ酸スコア」が主流になっています。 そんなに厳しいと言われていたプロテインスコアで100点満点を取っていたのが、日本食品標準成分表に記載されている2500近い食品数のなかでも「卵」と「しじみ」だけ。卵に含まれているたんぱく質の品質は、群を抜いて質がいいんです。 品質がいいとはどういうことかというと、たんぱく質の最小構成単位である「アミノ酸」が、人間の体にとって1番いい組み合わせと1番いい割合で含まれているということ。質がいいほど、筋肉の合成がうまくいきます。 ほかに高得点なのは牛肉や豚肉、魚(イワシ)ですが、それでも79、90、90で100にはぜんぜん満たない。植物性たんぱく質はもっと低くて、大豆は56程度ですね。いずれも「アミノ酸スコア」では100点ということになっていますが。 数字からもわかる通り、食事からたんぱく質を摂取するなら卵がベスト。物価の優等生とも言われるように、インフレになっても卵は安いですしね。ありがたい存在です。 コレステロールや脂肪を控えたいからと卵白だけを食べる人がいますが、プロテインスコアが100というのは全卵の場合。プロテインの効果を最大限に得たい人は、卵をまるまる1個食べるのがおすすめですよ。