「連帯保証で4000万円の借金」大学中退、実家は売却…それでも「不思議と絶望感はなかった」と語る女性の現在
たしかに、自分が社会に出てどれくらい稼ぐことができるのかわからなかったし、退学に迷いもあったので、「そういう選択肢があるならやってみよう」といったん休学することに。当時、アルバイトをしていたウェブ制作会社に事情を話したところ、正社員として雇ってもらえることになりました。
■「働くことは自分に向いている」大学の退学を決意して ── 実際に1年間働いてみて、手応えはいかがでしたか? 西さん:雇っていただいたからには、会社の売上げに貢献したいし、自分がどこまでやれるかも試したくて、精一杯働きました。担当していたのは、Web制作とデザイン。もともと自分がやりたかったのは建築デザインでしたが、新しい「なにか」を生み出して世の中に送り出すという点では、インターネットの世界も建築も同じ。「やっぱり私はモノづくりが好きなんだな」と実感しました。自分の頑張りが成果として数字やお金に反映され、目標を達成したときには大きな充実感が得られる。お客様からの感謝の言葉がやりがいにつながり、「働くことは自分の性にあっているんだな」と心から感じることができたので、大学4年生を目前に退学を決めました。
そのころになると、当初は借金を抱えて沈み込んでいた両親も、「こうなったら頑張ってやっていくしかない」とポジティブになり、家庭の雰囲気もいい方向に向かうように。家族が一丸となって頑張ったことで、借金は数年で完済することができました。 ── 休学期間の経験から、仕事の楽しさに目覚めたのですね。大学生活に未練はなかったですか? 西さん:みんながSNSで楽しそうに卒業旅行の相談をして盛り上がっているのを見て、「うらやましいな…」と寂しさを感じたことはありましたが、復学したいとは思いませんでした。
休学中に感じたのは、私は「大学卒業」という肩書きにとらわれていたのだなということでした。それまで、社会で生きていくためには、大学卒業の肩書きが必須だと考えていたんです。ですが、実際に働いてみると、仕事で実力をつけて成果を出すことができれば、肩書がなくても社会で戦っていけると実感しました。1年間休学して、社会人として「お試し期間」を設けたからこそ、わかったことでしたね。あのとき、背中を押してくださった教授には、本当に感謝しています。