「連帯保証で4000万円の借金」大学中退、実家は売却…それでも「不思議と絶望感はなかった」と語る女性の現在
結局、その後の平行線をたどり、私たち家族が借金を返済するはめに。もともと父はお人好しで頼みごとを引き受けがちなタイプなんです。ただ、このできごとをきっかけに、夫婦ゲンカが増えて家庭内がぎくしゃくし、後に住んでいた家を手放すことになるなど、経済的にも精神的にも苦しい数年間でした。
■「借金の肩代わり」不思議と絶望感はなかった ──「なぜ自分が犠牲にならなくてはいけないの?」と怒りがわきそうな状況ですね。
西さん:もちろん納得できない気持ちもありましたが、怒りというよりは「これからどうしていくか」を現実的に考えなくてはいけない状況でした。それに、大変ではありましたが、不思議と絶望感はなかったんです。父も会社をやっているし、私も大学を辞めてお金を稼げばなんとかなるだろうと、意外に前向きでした。振り返れば、何も知らない20歳の若者だからこそ、わが身に降りかかったことに現実味がなく、楽観的に考えられたのかもしれません。もしも、いま4000万円の借金を突然抱えることになったらと思うと、恐ろしいです(笑)。
── つらい状況の中でも前を向く気持ちを失わない。気丈でいらっしゃいますね。 西さん:昔からわりと、自分の力で生きていきたい気持ちが強いタイプでした。親からも「高校までは責任を持って育てるけれど、成人したら自力で頑張って」と言われて育ちましたし、大学の学費もバイト代から支払っていました。親は「払う」と言ってくれましたが、「お金を出してもらう=自分の人生の決定権を委ねる」ことになる気がしていたんです。
── その後、1年間の休学を経て、大学中退を決断されました。休学されたのは、どういう思いがあったのでしょう? 西さん:当初は借金返済のために、大学をすぐに辞めてお金を稼がなければと思っていました。ですが、当時所属していたラボの教授に相談したところ、「そういう事情であれば、とりあえず1年間休学してみたら?実際に働いてみて、そのまま社会でやっていけそうな手応えが得られてから、辞めてもいいのでは?」とアドバイスしてくださいました。