Jリーグ再開は無観客想定も突きつけられた新たな難題
日本中で猛威を振るい続ける新型コロナウイルスの影響を受けて、2月下旬からすべての公式戦を中断しているサッカー界が、新たな課題の克服にも取り組んでいくことになった。 東京や大阪など大都市圏で今月7日に緊急事態宣言が発令され、16日からは全国へ拡大されたなかで、J1は全18クラブが活動を休止。J2で唯一練習を継続中のジュビロ磐田も25日から休止に入り、J3ではヴァンラーレ八戸といわてグルージャ盛岡がグループ単位で自主トレを続けている。 要は56を数えるクラブのほとんどすべてで、選手たちが自宅待機を余儀なくされている。前例のない非常事態が選手たちのメンタル面に及ぼす悪影響について、23日に行われた、日本野球機構(NPB)と共同で設立した新型コロナウイルス対策連絡会議の第6回会議後のウェブ形式のメディアブリーフィングで、Jリーグの村井満チェアマン(60)はこう指摘している。 「一人でコンディショニング調整を行っている現状に加えて、家族に対する不安や心労など、さまざまな要因で夜も眠れないなど、非常に不安定な心理状態にある選手もいる。ただ、選手の立場からチームドクターやチーム関係者にも、気持ちが萎えているとか、不安定な状態にあることを言い出しにくい選手もいるのではないか、という観点を認識しています」 日本を含めた65カ国および地域が加盟している国際プロサッカー選手会(FIFPro)が、今月20日に看過できないアンケート調査結果を報告している。新型コロナウイルス禍で世界中のプロリーグが中断している状況下で、うつ病の症状を訴える選手が急増していることが判明したのだ。 調査対象となったのは、大規模なロックダウン(都市封鎖)などの対策が講じられた国のクラブに所属する男子1134人(平均年齢26歳)、女子468人(同23歳)のプロ選手。3月22日から4月14日まで実施された調査で、前者で13%、後者では22%にうつ病の診断と一致する症状が見られた。 昨冬に実施された類似の調査では、男子6%、女子11%で同様の症状が報告されていたから、短期間で割合がほぼ倍増したことになる。情報は日本でも共有されていて、昨年限りで引退し、今年度からJリーグの特任理事に就任した元日本代表の播戸竜二氏(40)から21日の月例理事会、23日の新型コロナウイルス対策連絡会議で警鐘を含めた提案があったと村井チェアマンが明かす。 「フィジカルコンディションを調整することも大事ですけど、選手たちのメンタルをしっかりとケアしていくことも必要だという指摘が播戸さんからありました」