県の経験不足露呈… 北部大雨被害の災害救助法適用が難しく
沖縄テレビ
大雨被害が出た本島北部の支援を巡り今回、県の判断の遅れによって災害救助法の適用が困難となっていることについて、有識者は「県や市町村は適用の要件を見直すなどして今後の教訓として活かすべき」と提言しています。 玉城知事「国への窓口の一本化などこういう状況が再びあってはならないという事で、私からは直ちに窓口を一本化するよう指示をしました。」 今回の大雨災害を巡って県の対応について「再びあってはならない」と述べた玉城知事。大雨による浸水で損壊した住宅の応急処置や食料の支給。避難所の運営などに国の支援を充てる災害救助法について今回、県の判断が遅れたことで適用が困難になりました。 玉城知事「災害救助の方の適用についても十分内閣府とまた意見を交換していきたいと考えています。」 災害救助法は条文で「多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合」とされていて、災害の発生中に知事が判断して国と協議することで適用されます。 今回県は2日間にわたる大雨がおさまった11日に災害対策本部を設置し、この時点で国に協議を申し入れたため適用基準に合致せず、支援を受けられなくなったものです。 一方で、時同じくして甚大な被害を受けた鹿児島県与論町は、8日の被災中に協議し災害救助法が適用されています。 災害の頻発を受けて国は去年、災害救助法について発生中に適用させる運用を積極的に行うよう呼び掛ける文書を都道府県に出していました。 今回の大雨では内閣府の災害救助法の担当者が今月9日未明と早朝の2度にわたって、県の担当課に電話をかけましたが職員不在のためつながらず、協議できなかったことも明らかになっています。 災害救助法に詳しい小口幸人弁護士は「今回県は、法律の適切な運用が出来ていなかった」と指摘します。 小口幸人弁護士「災害救助法適用の機会が無いという今の建付けは制度としてそれ自体問題はあるだろうと思っています。ただそれでも市民県民の命を守らなければいけないですから、(法律の)建付け前提で万全の体制を整えていかなきゃいけないので沖縄県でも残念だけど、長年に渡って出来ていなかった。」 これまで県内でも台風の発生時に災害救助法が適用されたことはありました。小口弁護士は台風の接近に慣れた沖縄県だからこそ、今回の予期せぬ災害への対応が後手に回ったのではと考えています。 小口弁護士「私よく健康優良児という例えをするんですけどなかなか風邪ひかないんです、台風が来ても。被害が出ないです。」 「ただいざ被害が生じた時にどうしたらいいのかどういう支援があるのかという経験が少ないので、そういった知識や備えそして意識については全国で一番低いと思います。」 北部3村からは適切な対応を県に求めるとともに村としても一連の対応を検証したいといった声が上がりました。 知花靖国頭村長「(災害救助法の適用について)マスコミ報道で知ったんですよね。もしそれがその通りだと非常に残念だなと思います。(被災した)3村の村長でしっかりと内容を詰めて県に要請をしていきたい。」 當山全伸東村長「救助法で被災者に対する助成とか中身が問題なので、今後もそれ(適用条件)もまた検証しないといけないんじゃないかなと思っています。」 災害救助法の適用は発生中以外に人口当たりの住宅の全壊件数をもとに適用されるケースもありますが、今回の北部の被害状況での適用は難しいとみられています。 小口弁護士はいま県には被災した住民や自治体の目線に立った支援が必要だと指摘します。 小口幸人弁護士「県がぜひやらなきゃいけないのは災害救助法が適用されている時と同じ支援を行うこと。市町村に負担させないという枠組みにしてこそ市町村はお金のことを気にせずに全力の支援が出来るという事もありますので。」 週末以降、台風が接近する恐れもある中、県には同じ轍を踏まないよう迅速な検証と対応が求められます。
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