【光る君へ】『紫式部日記』で藤原頼通がこぼした恋の悩みに思わず現代人も共感!? 平等院鳳凰堂を建てた「若人」の意外な過去
2024年1月7日に放送がスタートした『光る君へ』は、平安時代を舞台に紫式部(演・吉高由里子)の一生を描いた大河ドラマです。 ◆【写真】渡邊圭祐さん(藤原頼通役)出演映画『八犬伝』のポスターをみる! 同作では藤原道長の息子として栄華を極め、かの有名な平等院鳳凰堂を建立した藤原頼通(演・渡邊圭祐)も登場します。 晩年には出家することにもなる彼ですが、『紫式部日記』には恋に悩める若人としての姿も描かれているのです。 本記事で詳しく紹介するのでぜひ参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
平等院鳳凰堂を建立した「藤原頼通」の意外な悩み
『光る君』では渡邊圭祐さんが演じる藤原頼通。 3代の天皇の摂政・関白となり、平等院鳳凰堂を建立したことでも有名ですね。 晩年には出家した彼ですが、若い時分には恋に悩む経験もしたようです。 『紫式部日記』には次の記述が見られます。 しめやかなる夕暮に、宰相の君と二人、物語していたるに、殿の三位の君、簾の端引き上げていたまふ。年のほどよりは、いとおとなしく、心にくきさまして、「人はなほ、心ばへこそ難きものなめれ」など、世の物語しめじめとしておはするけはひ、「『をさなし』と人のあなづり聞こゆるこそ悪しけれ」と、はづかしげに見ゆ。 紫式部作・小谷野純一訳・注『紫式部日記』笠間書院2007年 夕方、紫式部が(同じく女房である)宰相の君と話していると、藤原頼通がやってきます。 17歳という年齢に似つかわしくない上品さと奥ゆかしさを備えた若人はお姉さんふたりにこう語りかけるのです。 「人というのはやはり心遣いが難しいようですね」 1000年後に生きる私たちにも若人のため息が聞こえてきそうな語り口です。 紫式部はそのようにして男女間の話をしんみりとしている彼にたいし「人は頼通さまを『幼い』と侮るけれどそれは間違いだ」と書き残しています。 現代でも配慮・心遣いが恋愛の悩みの種となっていることは多いですよね。 「わかってほしい」、「こうして欲しいのに……」頼通の言葉からはそんな心の苦悩が聞こえてくるようです。 平安の遠い時代を生きる若者の声だと思うと大変趣深いですね。