「King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME」リリース記念! PMC Vol.32よりKing Gnu 井口理(Vo&Key)のインタビューを限定公開!
――『THE GREATEST UNKNOWN』のアルバム制作は、常田さんのスタジオができたことで、時間を気にせず、井口さんは歌録りにも向き合えたとおっしゃっていましたよね。 井口 めちゃくちゃ突き詰められたなと思っているんですよ。もちろん、今となっては、もっとできることはあったなって思うんですけど、それでも、『CEREMONY』とは明らかに向き合い方が違ったし、アルバム自体の色も違うし、ライブは変わってくるなって思いますね。 ――経験値も増えて、メンバーそれぞれゾーンに入る、その精度が上がってきてる感じがするというか。 井口 そうですね。今回のツアーは、音楽への集中度がすさまじかったんだろうなって。それは思うな。「まだいけるな」っていうのももちろんあるし、やっぱり、演出も曲順もつなぎも、すごくスムーズにきれいにつながっているし。エンタテインメントのショーとして、完成度が高かったと思う。 ――今回の『THE GREATEST UNKNOWN』のアルバム制作への取り組み方を含めて、今のバンドの強さに影響してる部分があるのでは? 井口 『CEREMONY』は、あのころの作品としてすごくよかったんですけど、今回のアルバム制作から、「いいものができた」って実感があったからこそ、ライブにも活きているというか。このアルバムをライブでやることに対して、わくわくする気持ちがもちろんあったし、アルバム制作の段階から、まっすぐにここまでつながってきてるなって。そういうのはあるかも。 ――ツアーのリハーサルはいかがでしたか。 井口 今回、珍しく、めちゃくちゃリハやったんですよね。King Gnuは、たぶん、ほかのアーティストに比べて、リハーサルが少なかったほうだと思うんですけど。よく悪くも、個々の能力が高いバンドだとは思うので、それでもできていたとは思うんですけど。それって、個々の強さだけでもっていってたようなもので。そうじゃなく、ちゃんとバンドとして突き詰めて、ライブアレンジを作っていったんですよ。4人でちゃんとリハをやったことで、この4人でしか成し得ない、また違うものを生み出せたというか。やっぱりリハ大事ですね(笑)。 ――「リハ大事」って、普通のことを言ってるかもしれない(笑)。 井口 あ、普通のこと(笑)。まあ、原点に立ち返ったのかもしれないですね。 ――そういった意味でも、2度目の東京ドームは前回と比べて全然違うって感じですかね。 井口 やっぱり最初の単発東京ドーム公演の映像を観てると勢いはあったなと思うんですよ。僕たちって慣れてくるとダメになるところもあるから、あのときの「雨燦々」よかったなーとか。初期衝動的なエモーションには勝てないよなみたいなものも感じるんですけど。今回のドームツアーは経験によって、どっしりしてたとは思うんです。でも、正直、単発東京ドーム公演のときは、まだコロナも明けきってないというか。まだお客さんも感覚が戻ってきてない感覚があって。「ライブってどういうものだったっけ?」「どうやってノってたっけ?」とか、「声出していいんだっけ?」みたいな状態だったから。今回のドームツアーは、お客さんもすごくて。俺らもコロナ禍からずっと、ライブの本来の楽しみ方みたいなものは発信してきたところであるんですけど。King Gnuのお客さんって、だいぶ盛り上げてくれているんだなって思いました。 ――「歌ってほしい」と意識的にライブでもそうですが、事前に言い続けていましたよね。 井口 そうですね。ライブの前説でも、(井口が)カオティックマンに扮して。 ――<彼らにとっても君たちにとっても、このツアーは特別だったんだ。行儀よくなんかなくていい、このステージでぶちかまして、全部おいていってほしい>と。 井口 あれ、前日にセリフ考えてやったんですけど、でも、そういうことが大事というか。聴きに来てもらうだけじゃなくて、あなたたちもがんばってねっていう。それで僕たちの演奏もよくなるから、結果いい演奏になることがお客さんにとってもやっぱりいいことだし、お互いにとって正義というか。そこは、ちょっと偉そうに言わせてもらいますが、長くバンド活動を続けていくにあたっても、やっぱり大切だし。「ライブをしたい」っていう、ちゃんとそういう気持ちになっていかないと、活動が続かないと思うんですよね。