「ピレリカレンダー 2025」がロンドンで発表
タイヤメーカー、ピレリによる「ピレリカレンダー 2025」が公開された。ロンドンの自然史博物館で行われた発表会の様子をレポートする。 【写真を見る】撮影の様子をチェック!
2025年の顔
「ピレリカレンダー2025」が、2024年11月12日にロンドンで発表された。ぜいたくな写真集ともいうべきもので、今回は英国の写真家、イーサン・ジェイムズ・グリーンが、官能的ともいえる世界を24枚の写真でもって作りあげた。 世界中からメディアを集めてのお披露目は、ロンドンの自然史博物館に特別に設置された会場で行われた。 写真家のイーサン・ジェームズ・グリーン(34 歳)は、同世代のなかでも、最も人気のあるファッション写真家の ひとり、とピレリではする。「ヴォーグ」「ハーパーズ・バザー」「i-D」「ニューヨーカー」「W マガジン」などで仕事をしてきた。 広告の分野でグリーンは、ルイ・ヴィトン、アレキサンダー・マックイーン、ディオールといったブランドとコラボレーションしている。「被写体の本質的な美しさとスタイルを、多くの場合は白黒で捉え、驚くほど親密なポートレートを生み出しています」とは、ピレリによる評価だ。 これまで彼の被写体になった人物の例として、リアーナ、リンダ・エヴァンジェリスタ、マーゴット・ロビー、クリスティ・ターリントン、マライア・キャリー、ハンター ・シェーファーなどがあげられる。 ピレリは(ご存知のように)フェラーリやランボルギーニをはじめ、コンパクトから大型SUVまでを対象にタイヤを供給する、イタリアで設立された企業。本業とは関係ないが、ピレリカレンダーは、アートマニア垂涎のコレクションだ。 2025年版における、12人の被写体は以下のとおり。 ハンター・シェーファー(アメリカ人女優、モデル、活動家) パドマ・ラクシュミ(インド系アメリカ人のテレビ司会者で作家) ヴァンサン・カッセル(フランス人俳優) エロディ(イタリア人歌手、女優、モデル) シモーヌ・アシュリー(イギリス人女優) ホヨン(韓国人女優) ジョディ・ターナー=スミス(イギリス人女優) マルティーヌ・グティエレス(アメリカ人アーティスト) コニー・フレミング(アメリカ人モデル、ファッションイラストレーター) ジョン・ボイエガ(イギリス人俳優) ジェニー・シミズ(アメリカ人モデル) イーサン・ジェームズ・グリーン(写真家) 写真のコンセプトは「リフレッシュ・アンド・リヴィール Refresh & Reveal」とされていて、「身体を通して明らかにされる美の探求に立ち返り」作品づくりがおこなわれたと、プレスリリースでは書かれている。 作品の多くは、裸体を見せる被写体を扱っている。1964年に第1作が発表されたピレリカレンダーは当初(だいたい2010年代中盤まで)女性の裸体を美しく見せることが主題で、いまでもときどき、ピレリカレンダーと聞いて当時のものを連想するひとがいるほど。 2016年のアニー・リーボビッツなどは、作者(リーボビッツ)のクリエイティビティを強く追求し、より強くアート性を打ち出すようになった。18年のティム・ウォーカーは、すべて黒人キャストで、ユニークな「不思議の国のアリス」の世界を作りあげて評判を呼んだ。 グリーンは、今回の作品について下記のように語る。「今日の美を探求し、常に美を讃えてきたピレリカレンダーのような文脈でそれを表現できることにワクワクしました。カレンダーの原点に立ち返り、現在の瞬間を反映する新しい方法で身体を讃える」ことをコンセプトにすえたそうだ。 ピレリカレンダー2025でファッションディレクターを務めたトニー・グッドマンは、さらに説明を加える。「体をさらけ出すことで個人的な感情が表れた姿勢を表現するための手段として使用できる服を見つけることがチャレンジでした」 見るひとが注目してほしいポイントとして、「ピレリ(カレンダー)のエレガンスとビジョンを尊重しながら、さらけ出すために隠すべきは隠さなければなりませんでした」というグッドマンの言葉は、おおいに参考になるだろう。 あいにく、ピレリカレンダー2025は非売品。この記事で作品を楽しんでほしい。
文・小川フミオ 編集・岩田桂視(GQ)