「あぶ刑事」のタカ役との比較も面白い!舘ひろしがダンディだが女性が苦手なトラック野郎を演じた「天下御免トラック野郎 銀ちゃんの事件街道!」
俳優・舘ひろしといえば、柴田恭兵とのタッグで人気を集めた「あぶない刑事」シリーズで演じた"タカ"こと、港署の鷹山敏樹刑事が代表作。バイクのハーレーに乗ったタカが、ショットガンを撃つバイクアクションのシーンなどを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。 もともとバイクチーム「クールス」のリーダーを務めていたということや、後にテレビドラマ「西部警察」でもバイクアクションを披露していたということもあり、舘ひろしといえば、バイクの印象が強い人も多いかと思うが、そんな舘ひろしが「平成のトラック野郎」に初挑戦したドラマが「天下御免トラック野郎 銀ちゃんの事件街道!」である。この注目作がファミリー劇場で放送される。くしくも本ドラマが放送された2016年は、映画「さらば あぶない刑事」が公開された年でもあり、そのキャラクターの違いを比べてみるのも面白い。 鈴木則文監督、菅原文太主演の「トラック野郎」シリーズといえば、1975年から1979年にかけて全10作が製作された娯楽活劇。トラックドライバーの"一番星桃次郎"こと星桃次郎(菅原)と、子だくさんの相棒"やもめのジョナサン"こと松下金造(愛川欽也)が巻き起こす珍道中を描き出す。コンプライアンスの基準が現代とは違う昭和という時代性や、当時、不良性感度の高い映画を連発していた時代の東映作品ということもあり、義理と人情あり、涙あり、笑いあり、お色気あり、メロドラマありと娯楽の要素がたっぷり詰まった、まさに"昭和の娯楽映画"の金字塔的作品だった。本作はその「トラック野郎」の平成版ともいうべきコミカルなサスペンスドラマだ。 舘が演じる本作の主人公は銀ちゃんこと竜崎銀之助。交通ルールを完璧に遵守しながらも、時間厳守で確実に荷物を届けるスゴ腕のトラック野郎である。彼がどこからやって来たのか、仲間たちの中でその素顔を知るものは誰もいないが、どうやらワケありの過去があるようだ。一見ダンディで女性の扱いには慣れているように見えるが、実は女性と二人きりの状況が大の苦手。銀ちゃんは「女性が苦手なのに女性好き」なのだ。 そんなある日の夜、アパレルメーカー「イークローズ」の新作発表会の荷物を翌朝6時までに仙台に届けるため、デコトラを発進させようとした銀之助だったが、そこにいきなり若い女性(中村静香)が飛び出して来て、「仙台まで乗せてください」。女性の頼みを断ることができない銀之助は、仙台まで彼女を乗せていくこととなったのだが、彼女を乗せたことで、大事件に巻き込まれてしまう。そこで彼はトラック仲間たちの協力を得ながらこの難事件の解決に挑むことにするが―。 トラック野郎といえば、派手な装飾が特長のデコトラが見どころとなるが、本作では舘がみずからデコトラの模様をプロデュース。アメリカンコミックっぽいテイストでという提案により、炎で龍を表現するデザインのデコトラとなった。 菅原文太が演じた映画「トラック野郎」シリーズの桃さんは、無類の女性好きで、短気で喧嘩っ早いが、情に厚いキャラクター。言葉を選ばずにいうならば、野良犬のような、下品さと野性味あふれるところが魅力だったが、その「トラック野郎」を舘ひろしが演じると、どこかダンディさと気品があふれ出てしまっており、ひと味違ったキャラクターとなるのが面白い。 文=壬生智裕
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