大川原化工機「冤罪」事件で調書破棄の疑い 公安部捜査員を書類送検
軍事転用可能な機器を無許可で輸出したとして起訴され、その後取り消された「大川原化工機」(横浜市)への警視庁公安部の捜査を巡り、警視庁捜査2課は20日、取り調べの際に作成した調書を故意に破棄したなどとして、公安部の捜査員だった3人を公用文書毀棄(きき)と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。 【写真】警視庁の警察官への証人尋問後に会見した大川原化工機の大川原正明社長(左から2番目)ら=2024年10月9日午後、東京・霞が関、米田優人撮影 同社への捜査を巡っては東京地裁が昨年12月、都と国に計約1億6千万円の支払いを命じる判決を出し、今年1月に双方が控訴した。 一審判決は、2020年3月に捜査員が元役員(71)の「弁解録取書」を作成する際、元役員の指摘に沿った修正をしたように装い、元役員に署名させた行為を違法と認定している。 捜査関係者によると、送検容疑は、この調書について捜査員は破棄したが、「誤って裁断した」とするうその報告書を作成したというもの。また19年5月ごろ、機器が規制対象にあたるかを確かめる実験の際に捜査に不利になるデータを隠し、うその報告書を作った疑いもある。 捜査員が故意に調書を破棄したかどうかについて、同庁は明らかにしていない。 同社側が3~4月、捜査員だった3人を刑事告発していた。3人のうち1人は既に退職している。(福冨旅史、比嘉展玖)
朝日新聞社