住友商、シェール開発の黒子で稼ぐ-パイプや天然ガス取引に強み
「未経験の分野に大きなお金を投入するということは、この3年間おそらくない」とする。住友商は他の商社に比べて株価純資産倍率(PBR)で後れを取っており、中計で描いた成長戦略を実現できるかに関心が集まる。
岩井コスモ証券の清水範一アナリストは、「市況に左右されないような事業をもう少し増やすことが課題」と指摘する。足元で株価が上昇している伊藤忠商事は、消費者に近いビジネスポートフォリオの強化で市場からも評価されている一方、米国金利や景気の不透明感が住友商の資源関連事業に影を落としていると話す。第1四半期の時点で進捗(しんちょく)が確認できれば株価が見直される可能性もあるが、足元の株価は重たいとした。
住友商は課題事業の改善にも取り組む。マダガスカルでニッケルを生産するプロジェクトは、「再構築」事業に位置付けて手を打つ。ニッケルは電気自動車(EV)向けなどで需要があるものの、同プロジェクトは不具合などでたびたび損失を計上してきた。
上野氏は、まずは半年から1年の間に落ち込んでいる生産量を回復させた上で、市場の反応も見ながら売却やマイノリティー出資への転換も含めてさまざまな選択肢を検討するとした。
岩井コスモ証の清水氏は同プロジェクトについて「今後さらなる大きな損失は当面ないと思われ、一つの安心材料だ」と述べた。
上野社長のその他の発言
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Akemi Terukina, Natsuko Katsuki, Shoko Oda