治団体収入総額の推移

15日に公示された衆院選は、27日の投開票まで12日間の選挙戦がスタートした。政治とカネを巡る「政治倫理」の在り方に、候補者はどう対峙（たいじ）するのか。有権者が一票を託す上で判断材料となる争点をクローズアップする。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」 ■資金巡り再考契機 衆院選では、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を機にクローズアップされた「政治とカネ」も大きな争点となり、政治の信頼を取り戻す道筋が問われる。 政治資金規正法の改正によって、企業・団体からの献金に上限が設けられたのは昭和50年。田中角栄元首相の土地取引に絡む「金脈問題」がきっかけだった。しかし、未公開株が政官要人に譲渡されたリクルート事件や、金丸信元副総裁に対するヤミ献金などが発覚した東京佐川急便事件などが相次ぎ、平成6年の改正では企業・団体献金の対象を政党などに限定。その後も、同法の改正は繰り返されている。 令和4年分の政党を含む全ての政治団体の寄付や政治資金パーティーなどによる合計収入は計約2096億円に上る。 政治資金の規制強化などについての論争が期待されるが、「政治倫理」の在り方を巡り、根底から見つめ直す機会とすることが必要だ。 ■「国民のための熱量を」 公職選挙法違反の疑いで、罰金や公民権停止3年の略式命令を受けた無所属の元職、菅原一秀（いっしゅう）元経済産業相（62）が出馬した東京9区（練馬区）。立憲民主党の前職、山岸一生氏（43）、日本維新の会の新人、大河内茂太氏（53）、みんなでつくる党の新人、大津綾香氏（31）と争うことになる。 公示直前には、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けて元職の今村洋史氏（62）が出馬断念を表明。「政治とカネ」の在り方を問う舞台となり、区内の有権者の関心も高まった。 「本当にクリーンな方などいるのか」。こう話すのは、主婦の三田みちこさん（85）。人柄重視で一票を決めるという。一方、会社員の下田博之さん（55）は「今後も変わらないと思う。政権交代してどうなるかを見ていきたい」。 2児を育てる30代女性は「疑惑の真相やお金の出所を明らかにすべきだ」と語り、国政を担う政治家には「自分のメリットだけで動くのではなく、国民のために熱量を持ってやってほしい」と望んだ。（塚脇亮太）