老舗の温泉旅館「書店、はじめました」旅先でゆったり湯と読書に浸る
温泉あがりに、心ゆくまで読書に浸る――。 札幌・定山渓温泉の老舗旅館が今秋、「体験」に価値を置いたユニークな書店を施設内にオープンした。定山渓エリアの唯一の書店で、宿泊者のほか、入場料を払えば一般客も利用できる。 【画像多数】風呂屋書店の様子。ソファをそなえた個室スペース、知的好奇心くすぐる選書 札幌中心部から車やバスで約1時間の人気温泉地・定山渓。創業65年を超える温泉旅館「定山渓第一寶亭留翠山亭(じょうざんけいだいいちほてるすいざんてい)」は、山と渓谷に囲まれた静かな場所にある。 「風呂屋書店」は、施設2階の大浴場に続く約130平方メートルの空間に誕生した。書棚には「脱衣棚」や「風呂おけ」を活用して温泉気分を演出。文芸からビジネス書、実用書、ご当地本まで、知的好奇心をくすぐる約2500冊をそろえた。 いずれも閲覧自由で、購入も可能。ソファをそなえた個室スペースもある。入場料(1100円)にはフリードリンクが含まれ、旅館のラウンジならではの上質なお茶やコーヒーも楽しめる。第一寶亭留の大島彩乃さんは「お風呂のように、ゆっくりと読書に浸る時間をお楽しみください」と話す。 営業時間は午前11時~午後3時。宿泊者は無料で、日帰り入浴付きのプランは2850円。利用は7歳以上。27日からは書店内で絵本も手がけるイラストレーターの中山信一さんの原画展を開くほか、12月~来年1月には旅館近くの人気スポット「山ノ風マチ」に「出張」。飲食店で本に登場する「再現グルメ」を販売したり、宿泊者向けのレンタルサービスも実施する。(原知恵子)
朝日新聞社