【大学野球】「自分でコントロールできる部分を大事にしたい」 エース・篠木健太郎の言葉が法大復活へのキーワード
優勝経験がないまま卒業
現在の4年生は、優勝経験がないまま卒業する学年となった。主将・吉安遼哉(4年・大阪桐蔭高)は責任を口にした。 「この伝統、勝つことの難しさを改めて感じた。先輩方の偉大さを感じた。順位が決まった(優勝の可能性がない)中での血の法明戦。結果的に何も残せなかったが、戦う姿勢は見せられた。3年生以下は、この経験を来年以降に生かして優勝してほしい」 大島監督は「申し訳ない。勝たせてやれなかった。優勝の喜び、勝つ喜びを経験させてやれなかった。申し訳ない」と頭を下げた。一方で「(2024年のチームスローガンである)『結』は少しずつ固まってきた」と手応えを口にした。主将・吉安が言う「戦う姿勢」。マウンドで体現したのは、通算14勝を挙げた篠木健太郎(4年・木更津総合高)だった。 篠木は昨秋、疲労蓄積によりシーズン途中離脱。大島監督は将来を見据え、慎重に起用する意向を明かしていた。しかし、責任感の強い篠木は万全の調整を経て、気迫の投球を貫いた。大島監督は篠木の「思い」を最大限に尊重しながらも、無理はできない。この1年、指揮官とエースのせめぎ合いが続いた。篠木はDeNAからドラフト2位指名を受けた。 「壊れなくて良かった……。チームのために鼓舞してくれた。(エースの気概に)付いて行けなかったのは、僕かも……」(大島監督) 篠木は学生野球の模範だった。野球のために、すべてを犠牲にしてきた。学業も手を抜かず、文武両道を実践。いつも言っていたのは「自分でコントロールできる部分を大事にしたい」。背番号18のエースが残した足跡を、後輩はどう受け止めるか。覚悟を決めた、自覚ある行動。法大復活へのキーワードである。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール