宮城野親方を「是が非でも追放したい」!?"白鵬イジメ"に見えた日本相撲協会の「意外な焦り」
モンゴル人横綱たちに公然と「異議」を唱えていたある親方
現役時代の宮城野親方に対して「異議あり!」とはっきり口にしていた人物がいる。’18年に相撲協会を退職した貴乃花親方である。現役時代に「張り手」や「かち上げ」に似た「エルボー」を見舞いながら優勝回数を重ねる白鵬を公然と批判していた。 「相撲は相手を傷つけるために取るわけではない。相手に向かって来させてそれを受け止めて勝ち続けるのが横綱というものです」 そればかりではない。当時の貴乃花親方は、モンゴル出身力士として一時代を築いた元横綱・朝青龍に対しても辛辣だった。それはある“事件”がきっかけだった。 ’09年初場所で優勝した朝青龍は「モンゴル国旗」を左手に持って優勝パレードに使用されるオープンカーに乗り込んだ。 「この行動に貴乃花親方は猛烈に怒っていました。日本人力士が日の丸を持ってオープンカーに乗ったことはないと話していた。ハワイ出身の力士たちはこれほどまでに横暴なことはしなかった。その部屋の師匠たちがしっかり相撲道を教えないといけない。(モンゴル人力士たちには)1年、2年じゃわかってもらえないと思います」(別の夕刊紙記者) モンゴル出身力士の入門を頑なに拒み続けてきた貴乃花親方だが、’08年に部屋初の外国人力士としてモンゴル人の貴ノ岩を弟子として迎えた。それには理由があった。同親方はこう明かしたという。 「あの子(貴ノ岩)は8歳で母親(故・アルタンゲレルさん 享年46)を、16歳で鳥取に相撲留学した際に父親(故・アディアさん 享年64)を亡くした。とても苦労をしている子なんです。部屋(貴乃花部屋)の夏合宿にきた時の貴ノ岩の稽古ぶりをみて、私が入門を許可したんです」 貴ノ岩は、努力と辛抱を積み重ね、貴乃花部屋初の関取になったが、皮肉にも’17年に起きた「日馬富士暴行事件」の被害者になった。この時、巡業部長だった貴乃花親方は、相撲協会への報告を怠り、危機管理委員会の調査協力も再三にわたり拒否したことが「理事の忠実義務に反した」として、理事を解任された。 さらに貴ノ岩自身もその後、付け人に暴力を振るったことで、引退。この事件の場にいた当時の横綱・白鵬は貴乃花親方の退職を聞いた時、神妙な面持ちでこう答えた。 「もっと指導してほしかった。僕自身にもね」 宮城野部屋の身元引き受け役となった伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は宮城野親方に「(弟子の)親御さんに会ってきなさい」と今回の問題のお詫び行脚を勧めたという。さらに相撲協会関係者はこう明かす。 「一門の理事でもある浅香山親方とともに、執行部へ宮城野親方の行動の経過報告をこの2人の親方で行います。宮城野部屋の再興の可能性はゼロではないのですが、全ては八角理事長の腹ひとつです」 八角理事長は定年まであと4年。同理事長が安心してバトンを渡せる後継者を育てることができるのか。伊勢ケ浜部屋に転籍になった宮城野親方は、相撲協会からの“理不尽な仕打ち”に我慢できるのか。そして宮城野部屋は再興するのか。いずれにせよ、伊勢ケ浜部屋への引っ越しではじまった宮城野親方の新生活から、今後も目が離せない。
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