自動車部品業界が大再編時代に…アイシンと三菱電機モビリティが共同で新会社、「機電一体」化はローテクがカギに
■ プリウスのソースコードはF35戦闘機の5倍 三菱電機モビリティは今年4月、三菱電機の自動車部品事業が分社化して発足した。インバーターやパワー半導体の競争力は一定の評価を受けているが、カーナビなど不採算事業も抱えており、今後は成長領域に軸足を移すために、さらに再編を仕掛けてくる可能性がある。 三菱電機モビリティとアイシンの提携は、自社の弱点を補いながら自社の得意分野を伸ばせる可能性があるという点で、理想的な再編と言っても過言ではない。 機械をソフトと融合させることを「機電一体」と呼ぶことにする。ローテクとハイテクの融合と言ってもいいかもしれない。こうした「機電一体」の動きは自動車産業で急速に進んでいる。 たとえば、世界最大の自動車部品メーカーで電子制御に強い独ボッシュと、プレスを得意とする独ベントラーオートモーティブは2019年4月、業務提携すると発表した。ハイテクとローテクの提携だが、理にかなった非常に戦略的な提携だ。 ボッシュは、自動車向けのセンサーやコンピューター「ECU」など電子系を得意とする。一方でのベントラーは世界トップ級のプレスメーカーで、自動車の骨格となるシャシーなどに強い。 なぜこのような「機電一体」の提携が起こるのか。自動車産業で進む技術革新の流れを示すキーワードに「CASE」がある。インターネットと繋がるコネクテッド(C)、自動運転のオートノマス(A)、クルマを所有しないシェア(S)、クルマの電動化であるエレクトリック(E)の頭文字を重ねた。 こうした流れの中で、自動車の開発コストに占めるソフトウエアの比率は高まる。制御技術が売りのハイブリッド車「プリウス」のソースコードの量は最新鋭の戦闘機F35の5倍程度あると言われる。EVになればおそらくもっと増えるだろう。 このため、自動車産業ではソフトウエアに強い技術者の争奪戦が起こっている。実は、そこに「落とし穴」もある。ソフトが強いだけでは、ダメなのだ。