岸和田市長、再不信任後の市長選意欲 「再選なら選挙費用以上稼ぐ」
大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)は24日、自身の性的関係を巡って不信任決議を可決した市議会を解散した。永野氏は記者会見で「不信任決議の内容はまったく理解ができず、大義はない」と理由を説明した。市長が私的な問題で議会解散に踏み切るのは異例。市選管は24日、市議選の日程を2025年1月26日告示、2月2日投開票に決めた。 【写真】永野耕平市長が提出した解散通知書 永野氏は自らの進退について、改選後の市議会が不信任を再可決し、永野氏の自動失職が決まった場合、出直し市長選に立候補する意向を明らかにした。 記者会見で永野氏は、市議会の不信任決議について「僕の不貞行為は反省しているが、市議会で扱われるのはおかしい。説明責任を果たしていないという指摘は当たらない。事実でなく的外れな内容だ」などと批判した。 議会解散を決めたことについて「(不信任決議をした)市議会の議員の資質を問う選挙になる。(市議選で)不信任に賛成した議員が(前回選より)票を減らしたり、反対した議員が票を増やしたりする状況が見えれば、一つの論点になる」との見解を示した。23年4月の市議選で7309万円を要した選挙費用については「民主主義に必要な費用だ。市長選もやれば1億円かかるが、再選されればそれ以上を稼ぎたい」と述べた。 記者会見の後半から永野氏の妻が同席し、「夫婦でこの問題に対応してきた。事実を知ってほしい」と述べた。 24日に永野氏から解散通知書を受け取った烏野隆生議長は「不信任決議をした以上、解散も覚悟はしていた。市長が招いたことであり、解散に大義はない」と批判した。 永野氏は市長就任以降の19年ごろから、政治活動で関わりのあった女性と交際を始め、約1年半にわたって不適切な関係を続けた。女性は22年6月、永野氏を相手取り、損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。 和解調書(11月14日付)によると、地裁は「両者の間に社会的な上下関係が形成されていた」と指摘。永野氏が女性に謝罪して解決金500万円を支払う内容で合意した。 今月8日には所属していた大阪維新の会から正式に離党勧告の処分を受け、同日付で離党した。市議会は9日、永野氏に本会議や委員会に出席しないよう申し入れた。20日には「岸和田市は大混乱の異常事態で、市長の責任は重大である」などとする不信任決議を賛成多数で可決し、永野氏は失職か議会解散の判断を迫られていた。 議会から不信任を受けて市町村長が議会を解散した事例としては、セクハラを受けたとして村職員の女性から提訴された宮城県大衡村の元村長(15年)や、特別養護老人ホーム整備を巡って市議会側と対立した東京都あきる野市の元市長(22年)などのケースがある。【中村宰和、新宮達】