ラグビーを続けてよかった。植田宗優、東洋大の「のびのび」にはまって台頭。
相手と間合いを詰め、力強いタックルを放つ。起き上がるや、向こうがキックを放つスペースへ先回りする。捕球役のサポートにつき、危機を未然に防ぐ。 身体が張れて、かつ嗅覚があるようだ。 植田宗優。東洋大ラグビー部の3年生だ。身長186センチ、体重100キロのFLは謙遜して述べる。 「タックルをするだけで満足せず、次(の動き)も意識。練習通り、できたと思います」 10月6日、茨城・流経大龍ケ崎フィールド。加盟する関東大学リーグ戦1部の3試合目でこの秋初先発を果たした。 前年度の順位で3つ上回る2位の流経大を27-24と僅差で制し、今季2勝目を挙げる。植田もフル出場して持ち味を発揮し、コーチのひとりからは「きょうの僕の中でのMVP」と缶ジュースをプレゼントされた。 「きょうの試合では厳しい時間帯もあったんですけど、個人的には(やるべきことを)実行できてよかったです。前回まで試合に出られなかったり、リザーブスタートになったりと悔しい思いをしてきました。きょうは今季初スタメンで、試合前には監督に『身体だけ、ぶつけてこい』と言ってもらえて、思い切り行くことができました」 防御と多文化共生を重んじるクラブで存在感を示す植田だが、もともと大学でプレーするかを迷っていたという。 競技開始は中1の頃。太宰府少年ラグビークラブに通った。4学年上の姉が筑紫高のクラブでマネージャーをしていた縁から「筑紫高でラグビーをしようと思って、中学から(ラグビーを)始めました」。推薦入試で願いを叶えた。 高校ではレギュラーになれなかった。そのため大学の体育会へ進むのをためらったのだが、やがて心変わりした。東洋大の福永昇三監督に熱心に誘われたからだ。 「タックルが全然、へたくそで、できていなかった。大学では無理かな…と思っていたのですが、昇三さんに声をかけていただいて…」 いざ埼玉県内のキャンパスへ進めば、その雰囲気に親しんだ。 「スタッフと選手、先輩と後輩の距離の近さがあって、のびのびしています」 高校時代に苦手だったというタックルも、新たな環境のもと落ち着いて習得できた。足の運び、肩の入れ方といった基礎を確立させた。 できることが増えたことで、グラウンドに立つことがより楽しくなった。最近では、将来的なリーグワン挑戦も目指したくなっている。 「(東洋大は)自分の性格に合っていてとてもやりやすく、大学で伸びたと思います。まずは今年、レギュラーに定着し、大学選手権に出場できるように頑張ります」 19日には群馬・森エンジニアリング桐生スタジアムで、6連覇中で今年度ここまで全勝の東海大に挑む。 (文:向 風見也)