「日本一安い宿」を探してみた結果…北海道で見つけた“一泊500円宿”の居心地に驚き
旅人の金銭的負担を包み込む北の大地
ついに1000円を切る宿があると聞き、北海道へ飛んだ。新千歳空港から車で1時間半、シカやキツネが現れる夜道を駆け抜け、むかわ町という小さな集落に到着すると、薄暗闇にブルーの鉄道車両を発見。 これが「旧富内駅列車ハウス」か。国鉄時代の車両を再利用していて、主にバイク愛好家が利用するライダーハウスとして知られているらしい。 土と草の匂いを感じながら、鉄道の重い鉄の扉を引いて入室。蛍光灯に照らされた車内には絨毯が敷いてあり、手前から寝具、ソファ、ダイニングテーブルと置かれ、一つの長細い部屋のように改装されていた。 玄関部分には座席シートや車内広告、窓上には網棚があり、電車の雰囲気はほどよく残っている。電車に泊まれるとは、面白い体験だ。 周囲に飲食店はないため、途中で寄ったセイコーマートの弁当を食べて一息つく。その間に、切れそうだったスマホを充電しよう。利用できるコンセントが設置されていてありがたい。
街を駆け抜けない「寝台列車」宿泊体験
横に扇風機があったが、つけるまでもなく北海道の気温は涼しい。布団は清潔感があるものの、枕は黒ずんでいたため、リュックで代用して床に就いた。 時刻は22時。バチッバチッと車窓に蛾が体当たりする音が耳につく。窓は密閉されているようだが、蛍光灯の下で羽虫が落ちていく……。電気の近くで寝ないほうがよさそうだ。移動すると、少しマシになった。 翌日、車窓から注ぐ朝の日差しで目が覚めた。爽やかな朝だ。近所の商店へ向かい、管理人の老婦人に宿泊代の500円玉を渡した。しかし、信じられないくらい安い。 「町が補助金を出していて、ずっと500円でやってますよ。管理は昔から私一人でしています。毎年来てくれるライダーの方もいますね」 今年80歳になるという管理人さんの穏やかな人柄にほっこり。この宿の魅力の一つといえるだろう。 今回の安宿探しの旅、5泊で合計宿泊代金は8700円だったが、交通費はその10倍もかかった。本末転倒のようだが、ここまで大胆な旅ができたのは、紛れもなく安宿のおかげなのだ。 【兵庫・三和ホテル】 兵庫県神戸市兵庫区新開地5-2-11 宿泊1100円~。阪急・阪神・神戸電鉄新開地駅から徒歩3分。JR神戸駅から徒歩7分。10時チェックアウト 【北海道・旧富内駅列車ハウス】 北海道勇払郡むかわ町穂別富内81-1 近所のふじ屋商店に直接訪問すれば宿泊可。宿泊が18時以降になる場合は、事前に電話を 取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
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