ダウン症の俳優 吉田葵くんと小倉匡くんが作家・岸田奈美さんの弟役を熱演!NHKドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」トークイベントレポ
「ドラマに救われた」母、ひろ実さんの想い
後半は、ひろ実さん(岸田さんの母)、さちこさん(葵くんの母)、けいこさん(匡くんの母)、お母さんたちも一緒に撮影を振り返ります。 ひろ実さん:一般人である私たちの家族をドラマ化すると聞いたときに、驚きと同時にどんなドラマになるんだろうと思っていたら、こんなに素晴らしいドラマにしていただいて感激しました。 ドラマの岸本家は、自分たち(岸田家)は本当はこうなりたかったってことを叶えていてドラマを通して幸せな気持ちになりました。 奈美さん:パパが錦戸さんっていうのがまた嬉しかったよね。 ひろ実さん:私の記憶の中でお父さんは、上書きして錦戸さんになっています。怒られますね(笑)。 奈美さん:お母さんたちも、撮影で何か月も朝から晩まで大変でしたよね。 けいこさん:息子の撮影中に私の姿が見えると集中できないので、隠れて待機していました。先ほど奈美さんが話していた車のシーンのときは、地下駐車場の現場がとても寒くて私は地上にいたんです。撮影が終わって戻ったら、匡のことをすごく褒めてくれる方がいて、それがプロデューサーの坂部さんでした。そのときに、プロデューサーが誰か知ったくらい撮影時はドタバタしていました。 さちこさん:撮影はほとんど送迎係といった感じで、現場に入ったら演技指導の安田さんにお任せしていました。 ドラマの現場では、スタッフの方が小道具や演技の中に葵の要素を入れてくださったことにすごく驚きました、とても嬉しかったです。 撮影スタジオのリビングで長時間撮影をするので、葵ができるだけ落ち着いて撮影に臨めるようにと、事前にスタッフの方がわが家を見に来てくださって、葵の部屋の雰囲気を取り入れて私物もたくさん置いてくれたんです。爆睡してしまうこともあったくらいリラックスできたようです。 本当は良太さんはコーラが好きだけど、葵は飲めないからリンゴジュースにしてくださったり、いろいろな面で心を寄せてくださったので無事に撮影をやりきることができました。 奈美さん:ドラマで好きなシーンはありましたか? 私は、葵くんのアドリブもすきでしたね。第1話で、岸本家が草太を連れてコンビニに謝りにいくという緊張感があるシーンで、草太がうわの空で近くのケーキ屋さんでケーキを買っている子を眺めて「どんだけ食べんの」って呟いたときは、めっちゃ笑った!関西人を笑わすなんてセンスあるよね。 ひろ実さん:良太が小学生のころ、パパが亡くなった後によく「パパがいる」っていってたんですよ。もしかしたら良太には、パパが見えるのかなと思っていたのですが、ドラマでもパパが幽霊になって登場したシーンがありました。大人になった子どもたちに、パパが「大丈夫やで」っていってくれたシーンをみて、救われた気持ちになり、私たちの夢を叶えてくれたのが嬉しかったですね。
かぞかぞチームは、まさに家族
イベントのはじめに、奈美さんが「アットホームな感じで今日のこの場所は、ほぼ家です」といっていたように会場には、ドラマ出演者、関係者が集まりあたたかい空気に包まれていました。草太くんたちのトークをやさしく見守る、プロデューサーの坂部さん、演技指導の安田さん、馬場さんたちは、まるで父のよう。 トークショーの最後には、奈美さん、草太役を演じた葵さん、匡さんが共演者に感謝のメッセージを送りました。葵さん、匡さんが、草太を演じたこの経験を通して、これからどのような活動をしていくのか楽しみですね。
取材・文/やまさきけいこ