クリエイターに「お茶出し」をやらせてはダメ…日本一ふざけた会社で「イケてるしヤバい男 長島」がやったこと
誰もが気持ちよく働ける職場とはどんなものか。Webメディア「オモコロ」を運営するバーグハンバーグバーグ代表の長島健祐氏は「苦手な仕事を抱えているとパフォーマンスが下がる。それぞれが得意なことを担えば、補い合って会社として強くなることができる」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、長島健祐『センスは5% クリエイターをサポートするための45の技術』(徳間書店)の一部を再編集したものです。 ■誰がどのクライアントを担当するかも決めていなかった 弊社は制作会社といいつつも、(2024年現在)WEBメディアを3つ、YouTubeチャンネルを2つ、グッズ販売、イベント企画制作などいくつもの事業を運営しています。 小さな会社ですので、ひとりのメンバーが色々な役割を兼務することがあるのですが、それでもできるだけ配属先を明確化し、ミッションを明示しています。 弊社は制作会社ということもあって様々な職種があります。記事を書くライター、クライアント対応をして案件を進行するディレクター、メディアの更新スケジュールを組む編成や、動画に出る演者、事業を推進する人、他にも経理や総務などをするバックオフィスなどです。 以前、社員全員がクライアントの対応をしていた時代がありました。誰がどのクライアントを対応するか厳密なルールは決まってなく、「電話を出た人がその案件を対応する」という、普通の会社からすると少し考えられないような感じでやりくりをしていました。この感じで運用すると、当然、社外とのコミュニケーションが苦手な人が対応をすることもあるわけです。苦手な人が、苦手なお仕事をやると当然ながらパフォーマンスが鈍くなります。
■「請求書ってどうやって作ればいいんですか?」 僕が入社当初、古株の社員が僕にこっそり「請求書ってどうやって作ればいいんですか?」と聞いてきたことがあります。 古株の人が当時新入りの僕にそんな初歩的なことを聞くのはもう向いてない以外の何ものでもありません。そういったこともあって、役割を明確にしました。 「企画やライティングなどクリエイティブに専念してほしい」「この事業のこの役割をがんばってほしい」「クライアント対応を一切しないでいい」「バックオフィス全般を見てほしい」といった感じで、ひとりひとり従業員レベルでミッションを明確にしました。 その人の得意な分野が明確であれば余計な業務を省いて得意領域に専念させたほうが知見も溜まりますし、何より苦手な仕事をしないで済みます。苦手な仕事は持っているだけで全体のパフォーマンスをも落とすことがあるので、苦手な仕事を与えないということは大事だと思ってます。 ■こぼれそうなほど目いっぱい入れたお茶を出す社員 僕がまだバーグに入社する前のこと。当時、取引先だった弊社に行ったとき、現オモコロ編集長の原宿という社員がこぼれんばかりのなみなみ注いだお茶をお盆に乗せて、遠くからそろりそろりとやってきて、僕に差し出してくれました。 たぶん、今までの人生で人にお茶を出したことがあまりなかったのだと思います。それでも湯呑にめいっぱいのお茶をいれて僕の喉を潤そうと気を遣ってくれたわけですが、明らかに「苦手なんだろうな」と思いました。 誰しも苦手なことはいっぱいあるものです。整理整頓、お掃除、経費計算などなど。人によってはそれが記事書きだったり、カメラ撮影だったり、人前に出ることだったりします。ちなみに僕は、電話をかけることが苦手です。ですので、前述の通り、そういったことはできるだけやらせないようにしています。 当然ですが、全員がクリエイターに向いてるわけではないですし、全員が事務作業ができるわけでもありません。「整理整頓なんて誰でもできる! やる気の問題だ!」と思いがちですが、決してそうでもなく、それも特殊技能だと思ってます。 向いてない仕事は極力剥ぎ取って、できるだけ得意なこと、気持ちが乗ることをやれるようにしています。 ここらへんは前段でも書いた内容と重複していますが、とにかく苦手なものはやらせない。 となると、今度は「誰もしない仕事(=みんなが苦手な仕事)」というのがでてくるかと思いますが、苦手なポジションを顕在化することで「これはこの人はできそう」「これができるメンバーを採用しよう」といったかたちで補うことで全体を強固なものにしていきます。 それが例えば、税理士や弁護士など専門分野すぎる領域であれば外注などをして補ってます。 そういった感じで弊社はみんなの苦手な業務は、誰かの得意スキルで補っているということになります。そのせいか、年齢、役職関係なくみんながみんな敬意を払って仕事を依頼できているような感じがして、とても良い関係性が築けていると思います。