【2024ふくしま衆院選 託す思い】多様性 柔軟な法制度期待 若い世代に目向けて
投開票が27日に迫る衆院選では、選択的夫婦別姓やLGBTQなど性的少数者といった、個人の多様な生き方と社会の関わり方に関する課題も焦点の一つとなっている。福島県内の有権者からは家族の在り方や性自認・性的指向、世代間の平等などに目を向けた政治を期待する声もある。 各党の公約には、夫婦が希望すれば互いに別の姓を使える、選択的夫婦別姓を巡る主張が記されている。石川町の歯科衛生士鈴木和香さん(23)は将来的に結婚を考えている。婚姻後に夫の姓に変わることに今のところ、抵抗感は持っていない。ただ、職場には旧姓を通称として使っている既婚の先輩もいる。 選択的夫婦別姓の早期制度化を公約に掲げる党も少なくないが、候補者の間でも見解が分かれている様子から問題の複雑さを感じている。鈴木さんは社会の在り方に関わるテーマだけに「時代に合った柔軟なルールを目指して、積極的に議論を深めていってほしい」と求めている。
◇ ◇ 「性に関する考え方によって人々が分断されない社会を築いてほしい」。性的少数者への理解を広める活動を展開している団体「ふくしまレインボーマーチ」で共同代表を務める福島市の大学生猪股詢平さん(23)は自身の一票に託す思いを口にする。 多様な性を尊重するLGBT理解増進法が昨年6月に施行されたのを受け、同性カップルらの関係を、自治体が公的に証明する「パートナーシップ制度」を導入する動きが県内でも広がりを見せる。県が今年9月に始めた他、伊達、南相馬、福島、本宮の各市も仕組みを整えた。 ただ、異性婚で認められる権利を全て得られるわけではない。増進法の審議過程では、性的少数者を中傷する投稿を交流サイト(SNS)で目にして心が痛んだ。求めるのは多様性を認め合い、誰もが生きたいように生きられる世の中だ。 衆院選では同性婚の法制化や、LGBT差別解消法の制定を掲げる党がある。「性的少数者の権利は認知されてきたが、まだゴールではない」と一層の進展を願う。