３回、３ランを放つ大谷（提供・共同通信社）

　「米大リーグ・オールスター、ア・リーグ５－３ナ・リーグ」（１６日、アーリントン） 　米大リーグのオールスター戦がテキサス州アーリントンで開催され、ドジャースの大谷翔平選手（３０）がナ・リーグの「２番・指名打者」で先発。三回に球宴初本塁打となる先制３ランを放った。日本選手の球宴での本塁打は２００７年にランニング本塁打を記録したイチロー（マリナーズ）以来２人目で、柵越えの一発は初のこと。試合前のレッドカーペットショーには妻の真美子さん（２７）と登場し、裏地に愛犬のデコピンの姿がプリントされたスーツを披露した。 　まさに千両役者。ドーム球場をどよめかせ、歓声を独り占めにした。出場４度目の大舞台で代名詞の確信歩きを初披露。「あまりオールスターで打てていなかったので、いいヒットが打てたのは自分としてはホッとしました」。満面の笑みでダイヤモンドを一周した。 　お祭りの場でもアプローチを変えなかった。「普段通りの打席を送りたいと思っていた」。初回はフルカウントから外角の際どいコースを見極めて四球。ファウルにして次のチャンスを待つこともできたが、出塁優先の姿勢を貫いた。待望の一撃は三回。無死一、二塁で２ボールからの３球目。右腕ホークの甘く入ったスプリットを捉えた。 　「ちょっと（バットの）先気味でしたけど、いい角度で上がっていたので十分入るんじゃないかなと思いました」 　打球角度２９度、飛距離１２２メートル。バットの芯を外しても、スタンドへ運ぶ力と技がある。ド軍では９６年のピアザ以来、２８年ぶり１０人目のホームラン。日本選手では初の柵越え弾だ。「なかなか機会のない試合でそういう１本を打ってみたかった」。逆転負けで球宴ＭＶＰは逃したが、歴史的１本に満足感を漂わせた。 　メジャー屈指のスターたちが集結した場所。大谷が刺激を受けた選手に強打者のハーパーを挙げた。室内練習を観察し「すごい勉強になりました」。それを伝え聞いたフィリーズの主砲はベンチから見た一撃に「マジですごかった」と感嘆の声。打撃談議にも花を咲かせ「彼がこれほどまでに成功している理由がわかった」。ＭＶＰ有力候補の２人が互いに刺激し合った。 　１年に一度の華やかな舞台で本領を発揮。結婚後初、真美子夫人と一緒に参加した至福の時間。生涯忘れることのない球宴になった。