自民党大敗の裏で起きていた変化 高市早苗氏の街頭演説で掲げられた横断幕『軍拡よりも生活』に支持者は…【ヤジ排除裁判のその後】
「ヤジと民主主義」がテーマのパネルディスカッションでは私がファシリテーター役を務め、ヤジ排除訴訟の弁護団の神保大地弁護士、憲法の専門家である内藤光博専修大学教授、ヤジを飛ばされる側の代表として北海道比例区に立候補した畠山和也氏、ヤジを飛ばす市民(若者)側の代表として山本朱莉さんがパネリストとして登壇した。 太陽が傾き始めた晩秋の札幌は寒く、参加した市民と焚火を囲んでの対話となった。なぜヤジ排除が問題なのか、なぜ民主主義とつながっているのか…。パネリストが一方的に話すのではなく、対話を通して議論を深めていく。内藤教授によるとフランスにはこうした市民が政治について議論する場が街角にいくつもあるという。選挙の街頭演説だけでなく、さまざまな立場の人が日常的に議論できる公共空間が必要だと感じる。
社会問題を対話によって解決しようとする若者たち
私にファシリテーターの依頼をしたのは、実行委員のひとりで、帯広柏葉高校3年の角谷樹環さん。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんに影響を受けて、自らも気候変動に関する活動を帯広で始めた。8月には二酸化炭素排出削減を求めて国内の主要な火力発電事業者を提訴した原告団に加わった。 東京で第1回民主主義ユースフェスティバルに参加した経験が、札幌での開催を目指したという。 「自由に政治家と話せる場所があるんだとすごいワクワクした」「それまで話したことがなかった人、ふだん違う政党を応援したり違う考えを持ったりする人たちが自由に会話をしている状況に感動して、北海道で絶対に開催したいと思いました」 未来のために行動し、社会問題を対話によって解決しようとする若者たちとの出会いは、今回の選挙での大きな収穫だった。
ヤジ排除訴訟の判決の効力
「高市氏が札幌に来るのでスタンディングします」 10月22日、山口たかさんからメッセージをもらい、私は急きょJR手稲駅北口に向かった。自民党の高市早苗氏は、北海道4区から立候補した中村裕之氏の応援演説のためやってきた。総裁選で中村氏が高市氏を応援した見返りなのだろうか。中村氏は自民党道連会長であるにもかかわらず、立憲民主党候補との接戦が伝えられていた。 私が手稲駅に到着すると、私服の警察官があちこちで警戒にあたり、手荷物や金属探知機の検査が行われていた。物々しい雰囲気の一方で、聴衆は100人あまりと意外と少ない。
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