自民党大敗の裏で起きていた変化 高市早苗氏の街頭演説で掲げられた横断幕『軍拡よりも生活』に支持者は…【ヤジ排除裁判のその後】
すすきの交差点ではスタンディング
同じ日の午後5時ごろ。すすきの交差点で、市民ら10人ほどがスタンディングを行った。「投票に行こう」「ミサイルより笑顔で暮らせる日常を」などと書かれたプラカードをそれぞれ手にして道行く人に訴えた。 その中のひとり、山口たかさん74歳は2019年の参院選で、2人の友人とともに年金政策を批判するプラカードを掲げようとして警察官に排除された。石破総理が、札幌で街頭演説しなかったことについてこう語る。 「屋内で支持者向けの集会だけやってもだめ。ふだん接点のない人の声を聞いたり、そういう人に訴えるのが街頭演説だし、それが選挙。逃げたと言われても仕方がない」
仲間のペンダントを胸に…
山口さんの胸にはネオンの光に反射して輝くペンダントがあった。清原雅子さんがつくったものだ。 清原雅子さんは排除があった当時、山口さんらと行動をともにし、「年金100年安心プランどうなった?」というプラカードを安倍総理(当時)に向かって掲げようとしたが、警察官らによって阻まれた。当時、私たちの取材にこう答えていた。 「無言でプラカードを掲げるというのは誰にでもある権利だし、弱者ができる唯一ひとりでできることですよね。こんなことも声が出せないなんて怖いですよね。民主主義じゃないですよね」
雅子さんは、患っていたがんが再発。プラカードを掲げた翌日に治療を再開する予定で、「これが最後になるかもしれない」と話していた。治療の甲斐なく、雅子さんは2024年1月30日に亡くなった。享年70だった。警察は、雅子さんが政治に意見を表明する最後の機会を奪った。山口さんは涙をこらえながら話す。
「いま雅子さんがいたらどんな思いをしているのか。ネックレスは雅子さんの形見なんです。手先が器用で、織物やアクセサリーをたくさんつくっていた。みんな一つずつネックレスをつけて、雅子さんと一緒にスタンディングしてます」
与野党候補が若者が企画したパネルディスカッションに登壇
石破総理の来道から2日後の10月20日、札幌の中心部「狸小路」で政治家と市民が対話するイベント「民主主義ユースフェスティバル2024札幌」(日本若者協議会主催)が開かれた。道内外の若者が企画・実行委員会をつくり、対話を通して政治や気候変動、地域課題について考えようというもので、東京以外では初の開催となる。 「民主主義教育」がテーマのパネルディスカッションでは、選挙期間中にもかかわらず、北海道1区から立候補している自民党の加藤貴弘氏(41)、3区から立候補している立憲民主党の荒井優氏(49)がパネリストとして登壇。若者が政治にかかわるきっかけづくりの重要性などを話し合った。また、会場内には共産党や維新の会が「選挙小屋」を設置した。
【関連記事】
- 「戦いを通して学ぶのが民主主義」映画監督・是枝裕和氏が語る『ヤジと民主主義・劇場拡大版』排除された女性のそばにいた人の後悔に触れる
- 新宿駅で声を上げる『デスノート』出演俳優の半径5メートルの空洞…仕事激減も「俳優は発言しないと存在意味がない」無関心を切り裂く“ぼっち”単独デモ「ガザでの大量虐殺を止めよ!」
- 憲法9条を示す『No9』Tシャツ着用で警察官から「どこに行くんですか?」…ピーター・バラカン氏が憂う「メディアが政府の言いなりに」“権力の番犬”が果たす役割
- 「自分は見ていただけ」集団暴行死事件で川村葉音容疑者「交際関係をめぐりトラブルになった」と八木原亜麻容疑者、男子大学生は2人で向かった公園で暴行を受ける
- 「女装した男性の避妊具なしの性交」が事件の発端、瑠奈被告と父親の公判も見すえた攻防…検察「遺体を弄ぶことまで計画、“奴隷扱い”の両親は抗えず」弁護人「SMプレイのはずが『おじさんの頭を持って帰ってきた』で、この世の地獄」