築87年の小学校を再利用、神戸の新グルメ施設の「これから」
■ 耐震補強なども踏まえ「あえてそのまま残して」
神戸に新たなグルメ複合施設「神戸北野ノスタ」(神戸市中央区)が、11月8日にオープンした。築87年の旧小学校の建物を再利用した白壁の建物は、トアロード沿いにテラス席が設けられ、街に溶け込んでいる。地域との連携を大切に・・・同施設がこれから目指す先は? 【写真】アーチが印象的…明るい1階部分 2023年におこなわれた神戸市「旧北野小学校用事業者」の公募で、「ジーライオングループ」(本社:神戸市中央区)が選ばれ、リニューアル工事を経てオープンとなった同施設。三重の人気複合商業施設「VISON」を開発した「アクアイグニス」と共同運営をおこなっている。 新施設は1階に気軽に利用できるカフェ、ベーカリー、ショコラトリー、コーヒー豆のロースタリーが入店。2階にはグリルレストラン・バーが開業した。どの店舗も、神戸や兵庫の食材をつかったオリジナルメニューを揃える。
築87年になる元小学校の建物を利用することは、耐震補強や設備の更新を考えると簡単ではない。「ジーライオングループ」ゼネラルマネージャー・冨田大介さんは、「まるまる替えてしまうのもひとつかもしれないですけど、当時の建築は、今見てもかっこいいなと思うデザインがあって、そこはあえてそのまま残していきたいと思っています」と話す。 以前の建物と変わった大きなポイントは、トアロード沿いにテラス席が設けられたことだろう。以前より街に溶け込み、入りやすい雰囲気になった。校長室や教室などコンパクトな部屋で区切られていた館内は、アーチ型天井は残し、一部の壁を撤去して広い空間をつくった。区切られた部屋はその狭さをうまく利用して、各店の世界観が演出されている。
■ ほぼそのままの体育館、今後は貸しスペースなどに
一方で、年季の入った木製手すりの階段はそのままの姿を残し、3階の舞台がある体育館(講堂)は、エアコンを交換しただけ。卒業生の作品もほとんどが残されおり、1996年の閉校時に卒業生が黒板にチョークで書いた「北野小学校 ありがとう」の文字もそのままだ(立ち入り不可)。 冨田さんは「講堂は貸しスペースという形で地域の方がイベントに使ったり、外部の事業者様がレンタルスペースとして利用されたりする予定です。我々もスイーツ作り体験やSDGs体験など、近隣の小さなお子様や児童の方に来てもらえるようなことを企画していきたい。元々あった地域の子どもたちが習い事をしていたスペースも、場所を移動して残しています」と、地域との連携について想いを語った。 また、元校庭を利用した駐車場には大型観光バスが停められることもあり、北野のプラットホームとしてエリア全体を盛り上げていきたいと意気込む。神戸らしい施設として、関西近郊はもとより、インバウンドや国内ツアーの観光客に立ち寄ってもらえる施設を目指し、今後はエリアの周り方や、魅力的なお店紹介など、北野全体の楽しみ方を公式サイトで紹介していきたいとした。 取材・文・写真/太田浩子