利上げで住宅ローンの「繰り上げ返済額」が3倍に…プロが「おすすめしない」と断言する理由
40歳で余剰資金が500万ある人は、返済or運用どっちがお得?
金融資産の利回りは平均すると2~3%程度と言われているので、住宅ローンの返済に回すよりメリットが大きい、というわけなのだが、もう少しイメージが湧くよう、実際のケースに当てはめて解説してもらおう。 「例えば、現在40歳で繰り上げ返済に回せる余剰資金が500万円ある人がいるとしましょう。60歳でローンを完済予定で、金利は仮に0.45%とします。もし、20年早く500万円を繰り上げ返済した場合、23万円の金利を節約することができます。一方、その500万円を年平均2%で20年間運用できた場合の利益は、246万円になります」(塩澤氏) 500万円の余剰資金がある場合、運用に回すことで、200万円以上も得をするという計算になるのである。しかし、金利の先高観がある今、近い将来に政策金利が1%前後まで上昇する可能性も否定できない状況だ。それでもやはり、繰り上げ返済は悪手なのだろうか――。 「仮に、政策金利がターミナルレートとして意識されている1%前後まで上昇したとしても、繰り上げ返済はするべきではありません。理由はシンプルで、それでもまだ金融資産の運用リターンを下回っているからです」(同)
もし金利が5%まで上がったとしたら――?
ではでは、万万が一、金利が5%まで上がった場合はどうだろうか。それだとさすがに繰り上げ返済が有利なはず。 「5%に上がったとしても、手元資金を残しておいた方がいいケースの方が多いでしょうね。なぜなら、教育資金が不足した場合に利用される学資ローンや、家のリフォーム費用に適用されるローン金利は、それよりさらに高くなっているからです。急な出費に対応できる資金を手元に残しておいた方が、結果的に得をするケースは多いと思います」(塩澤氏) 最後に、資産の運用先についてアドアイスを求めると――。 「基本はインフレや円安のリスクヘッジの役割も期待できる、S&Pなど米国株のインデックスをおすすめします。個別株を買うリスクを許容できる方であれば、自分が住宅ローンの融資を受けた銀行の株を買っておくのもアリですね」(同) *** 同日配信の記事では、2025年の政策金利の見通しについて解説している。なぜ日銀は昨年12月会合で利上げを見送ったのか。そして、気になる利上げの「最短シナリオ」とは――。 デイリー新潮編集部
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