実は生活にも役立つ!身近なノーベル経済学賞理論【WBS】
男女の「賃金格差」解消の仕組み
ノーベル賞の理論が日本企業の長年の課題を克服したケースもあります。企業のデジタル化の支援を手がけるスタートアップ「スパイスファクトリー」です。 「2023年度の男女賃金格差が103%。男性を100としたとき女性の方が3%上回っている」(「スパイスファクトリー」チーフ・サステナビリティ・オフィサーの流郷綾乃さん) 同社では女性社員の平均年収が男性社員を3%ほど上回っているのです。日本全体の男女賃金格差は男性の年収が女性より21.3%多い、つまり男性の方が賃金が多い状況ですが、この格差が逆転している形です。 こうした男女の賃金格差の理由を解き明かし、2023年にノーベル経済学賞を受賞したのがハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授です。長時間や深夜労働が必要な業種では、家事など負担などが多くなりがちな女性に比べ、男性の賃金が増えることを解明。「男女間の公平性」をもたらすには「柔軟な労働」が重要だとしています。 スパイスファクトリーではゴールデン教授も提案する「柔軟な労働」を実際に採用しています。オフィスを見渡すと人はまばらです。週4日のリモートワークを推奨しているのです。 「もちろんやりたい仕事をやりたいが、子育てと両立ができないと早期退職になってしまうリスクがある。なるべくリモートワークも出社も両方できるところで探していた。まさにこの後も子どもの保護者会に行って、打ち合わせを繰り返す」(3人の子どもがいる「スパイスファクトリー」デザイン部門の佐藤千秋さん) また休憩時間も柔軟に設定。コアタイムを午前11時~午後3時として、その間に1時間の休憩が取れます。そして、それ以外の時間には無制限に休憩が取れるのです。実際に現在役員も育休を取っていて、誰もが使いやすい制度を実現しています 「マイナーチェンジでもすぐアップデートさせて使ってもらえる制度を作らなければいけない。ゴールディン教授は100年振り返って、ずっと男女格差の研究や分析を重ねてきた。それによって学ぶべきことはたくさんある」(流郷さん) ※ワールドビジネスサテライト