声も描写もしっかりと タブーも恐れぬ『パタリロ』は最終回も衝撃的だった
過激描写もブラックジョークもそのまま映像化? アニメ化の結末
実写映画が話題となった『翔んで埼玉』を生み出した魔夜峰央(まや みねお)先生ですが、彼の名を世に知らしめるきっかけとなった代表作といえば『パタリロ!』です。少女マンガ雑誌「花とゆめ」(白泉社)にて1978年より連載を開始した本作は、ギャグにとどまらず、スパイアクションやオカルト、推理ものミステリーなど、さまざまなジャンルを「笑い」という形でまとめた秀逸さで人気を博しました。 【画像】え…っ?「顔近ッ」「これを地上波で?」 こちらがアニメ『パタリロ!』のBL描写です 舞台となる架空の島国「マリネラ王国」の国王である「パタリロ」は、ゴキブリ並みの強靭な生命力、猫族の持つ反射神経を武器に世界を股にかけ、時空間を超越して活躍していました。9歳にして大学を卒業できた天才的頭脳も持ち合わせており、それらを使って、国の富を狙うドス黒い陰謀に立ち向かい、国を守る姿が描かれています。 とにかくハチャメチャな内容がウリとなっており、当時はタブーとされていた同性愛のほか、ギロチンで首を切り落とされるなど過激な描写も多く、規制の緩かった頃でさえも「映像化はできないだろう」と言われるほどだったそうです。しかし、多くのファンの願う声もあり、「原作のイメージを忠実に再現すること」を目標として、1982年から1983年にかけてアニメ化されました。 そんなアニメ版『パタリロ!』は、本当に原作のイメージを忠実に再現されていたのでしょうか? また、原作は今もなお続いていますが、アニメはどのように最終回を迎えたのかも振り返ります。 ●アニメ最終回はどうなった? 基本は一話完結型なのですが、アニメ最終話は前後編となり、単行本12巻に収録されている内容の「霧のロンドンエアポート」で結末を迎えました。 暗号で呼び出された「バンコラン」がM16本部に赴くと、そこには練習生時代の恋人である「デミアン」が待っています。かつて任務に失敗しドラッグで廃人同様になったデミアンを、バンコランは献身的に介護しました。そのおかげでデミアンはドラッグの沼から抜け出したのかと思いきや……なんと、再びドラッグを常用するようになっていたのです。 その事実を突き止めたパタリロが、現在デミアンと同棲している「マライヒ」とともに10年前へと飛ぶと、そこでデミアンが「KGV」のダブルスパイに洗脳されていたことを知ります。バンコランもデミアンの正体に気付き、高跳びしようとするデミアンを空港で追い詰め、パタリロの特殊能力とマライヒの捨て身の行動によって、デミアンを倒すのでした。 デミアンに命令を与えていた強大な組織の存在に気付いたパタリロが、「自分の能力を世界のために役立てねば!」と「スーパーキャット」の背に乗り飛び立ち、そこから落ちて地球に上半身が突き刺さって終わりを迎えるという、なんとも『パタリロ!』らしい最終回となっていました。 ちなみに、上記に登場したキャラクターたちは全員男性です。冒頭で述べた、当時はタブーとされていた「同性愛」の描写ですが、しっかりとアニメでも濡れ場が描かれ、喘ぎ声も流れるという、夕方帯アニメとは思えない内容が放送されていました。 「花とゆめ」からマンガアプリ「マンガPark」に掲載を移し、既刊104巻にして未だに終わる気配のない『パタリロ!』ですが、原作はどのように結末を迎えるのでしょうか。これからも目が離せません。
米田果織