大和証GがM&Aバンカー増強継続、今期30人採用も-欧米回復に備え
(ブルームバーグ): 大和証券グループ本社の荻野明彦社長は、欧米を中心としたM&A(企業の合併・買収)市場の回復を見据え、専門人員の増強を継続する考えを示した。昨年度の約50人に続き、今年度は30人程度の採用を検討する。中堅規模(ミッドキャップ)の案件に注力する方針だ。
荻野社長はインタビューで、欧米のM&A市場が停滞する中、「バルジブラケット(巨大投資銀行)から良い人材が流れてきたので、先行的に採りに行っている」と言及。「欧米のパイプラインの案件は前年より積み上がっており、M&A市場はボトムを打ったのではないか」とも述べ、体制拡充の背景を説明した。
米銀シティグループやJPモルガン・チェースは、M&A活動の低迷を受け関連人員を削減している。こうした中、大和証Gは2022年度に650人だった国内外のM&Aバンカーを30年度までに900人規模に拡大する方針で、市場環境の改善に備えながら案件獲得を狙う。バンカーは足元で約700人となっている。
大和証Gは中堅規模(取引金額5億ドル以下)のM&Aアドバイザリーランキングでトップ10入りを目標に据えるが、ブルームバーグのデータによると、23年度はグローバルで17位。荻野社長は「件数ベースで今より5割増えれば、ベスト5に入ってくるイメージを持っている」と話す。
大和証Gの24年3月期のM&A関連収益は、海外でのM&A専門会社の買収やバンカー増員により、489億円と過去5年で約2倍に拡大した。今後は国内では大型案件に、海外では収益性の高い案件に注力し、国内外の連携強化を通じた国際案件の創出も目指す。
インオーガニック戦略
大和証Gは外部との提携も成長戦略に据える。4月に発足したばかりの荻野新体制は今月、資本が絡んだ提携を相次いで打ち出した。あおぞら銀行に出資する一方、傘下の大和アセットマネジメント(AM)はかんぽ生命から出資を受ける。
荻野社長は今後について、ウェルスマネジメントやアセットマネジメントの分野で顧客基盤の強化につながる相手などが潜在的な提携先となると述べた。ただ、足元で進行中の案件は「ない」とした。