WBC米国の筒香封じの裏舞台。ニシェクは「左打者とは知らなかった」
マウンド上で捕手のポージーは「チェンジアップで攻める!」と言った。 だがニシェクは、「僕は右打者にはチェンジアップは投げないんだけど」と、逆らっている。 「そしたらポージーは、次の打者は左打者のツツゴウで、ホームランを多く打っている打者だと言ってきたんだ。それで僕は理解した。それならチェンジアップを多く投げようと」と、ニシェク。 マウンドに行くまで、てっきり右打者へのワンポイント登板だと思い込み、次のバッターの筒香が左打者だとは知らなかったのである。 初球は113キロのチェンジアップ。筒香はまったくタイミングが合わずに空振りした。続く145キロのストレートはボールになったが、さらにもう1球同じ球を続けてストライクを取った。カウント1-2と筒香を追い込んでおいて、勝負球もまたポージーが要求したチェンジアップだった。 同記事によると筒香の打球がライトへ飛んだとき、ニシェクは、「僕はそれほど心配していなかった。でも、ネット裏のお客さんが立ち上がるのを見たんだ。それで、おおっとなったけどね」という。 打球は角度よくライトスタンドに上がったが、途端に失速した。チェンジアップによって、筒香はうまくミートすることができていなかった。 この記事を書いたブラウン記者は、「WBCの一番良いところ、もしくは良くないところかもしれないが、よく知らないことに出会えるということだ」としている。 準決勝で無敗のプエルトリコと接戦を繰り広げたオランダ代表の投手たちも当てはまるという。 「選手のなかには、WBCのチームに招集されることを願っていて、WBCのユニフォームを着てプレーすることにイエスという。それはもしかしたら、誰かが注目してくれるかもしれないからだ」 米国のスター選手に比べると知名度の低いニシェクが、緊迫した状況の筒香斬りで、大きくアピールしたということだろう。 ニシェクは、「僕たちは明日(決勝のプエルトリコ戦)も勝つ。そうすればクレイジーなことになるよ」と話したそうだ。