清原正吾に「父親のため」以外のモチベーションはあるか 進路を左右する「慶応高の弟」と「早慶戦での“4安打”大爆発」
慶応大・堀井監督は…
慶応大の堀井哲也監督(62)も、指名から漏れたことで「清原は野球をやめるつもりではないか」と感じたという。 「独立リーグのオファーのことを伝えても、一切反応がありませんでしたから。しかし、それは残りのリーグ戦へ向けて余計な雑音を入れたくなかっただけで、リーグ戦が終了した今、いろいろ考えています。私に彼の本心はわかりません」 と首を横に振る。もっとも、 「清原は決して焦ってはいません。自分の人生の岐路でどっしり構えて、しっかり考えています。彼は(野球以外にも)いろいろ可能性を持っていると思います。だからこそ、なかなか答えが出ないし、じっくり考える必要がある。卒業に必要な単位取得は問題ありません。ウチの他の4年生には、留年する者がいれば、卒業はするけれど就職はせずに浪人する者もいて、清原もいろいろなパターンがありうると思います。決断の時期がいつになるかはわかりません。決まればお断りを含めて、オファーをいただいている全てのチームへ一斉にお知らせしたいと思っています」
監督も「これでやりたくならねえかな」と語った試合
清原の進路を野球へと向ける試合があったとすれば、ドラフト会議後のリーグ戦最終週、4打数4安打1本塁打と大爆発した早稲田大1回戦だ。早稲田大の3年生エースで来年のドラフト候補と目される伊藤樹投手に対し、清原は1、2打席目に“弱点”とされていた内角速球を、詰まりながらライト前に打ち返し連続安打。3打席目は一転、真ん中に来たストレートを、豪快に左翼席中段まで運んだ。 今季打率.200(45打数9安打)と低迷していたドラフト会議前の頃とは別人のような打撃に、堀井監督も、「彼はカードごとに成長しています。今季開幕からこの打撃をしていたら、打率.350くらい打って、ドラフトで指名されていたかもしれません。これで(野球を)やりたくならねえかな、と思いますよ」と試合後の興奮を隠せなかったほどだ。 「そもそも、硬球をほぼ初めて握った状態から始めて、4年足らずで4番に定着した成長スピードは驚異的です。ここでやめてしまうのは、いかにももったいない。1年限定で独立リーグに挑戦して、どこまで力を伸ばせるか試してみたらどうか。仮にそれでプロに指名されなかったとしても、長い人生の中の1年間ですから、大きな遠回りにはならないでしょう」(前出のOB) “清原ジュニア”と呼ばれ、計り知れない重圧を受けながら、驚くべき成長を遂げてきた清原正吾はいま、他ならぬ自分の人生と向き合っている。 (取材・文/喜多山三幸) デイリー新潮編集部
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