一流教師が子どもに「好きな教科」を聞かない理由
安易にきかない
次にこれは英語の授業やスピーチなどでよくあるケースですが……。 教師「好きな教科は何ですか?」 これ、結構あるんですよ。「好きな〇〇」をきくときに、「教科」をきいてしまうこと。よくないです。だって、私たち教師はどの教科も子どもたちに楽しく学んでほしいと思っています。そんな中、「体育が好き!」「算数が好き!」という声は、イコールそれ以外の教科は嫌い、という状況を生んでしまいます。さらに、「おれ、国語嫌い」といった呟きも生まれるかもしれません。もし自分が国語の教師ならその呟きはこたえます。ダメージを受けます。笑 わざわざネガティブな発言や呟きが生まれるような状況は、プロ教師はつくりません。これ、悪気無くやってしまう確率が高いのは、英語の授業の「I like ~」のフレーズ練習。それから、短い自己紹介などのスピーチです。ここには、「好きな教科」を入れるのはやめましょう。
コトバ②
NG「朝ごはん何を食べてきましたか?」
「他愛のない問い」こそ注意を払おう
この「問い」など、どこにでもありそうですし、やってしまいそうですね。実際、私は先日あるインスタグラムの発信の中で、「朝の会サイコロトークのお題の例」というものがあり、その中にバッチリ「今日の朝ごはん」という項目が入っておりました。 では何がだめなのか。それは、教師に「クラスの中に朝ごはんを食べてきていないかもしれない、朝ごはんを作ってもらえていない子がいるかもしれない」という感覚が抜け落ちているからです。 もしそういう子がいたら、その子は悲しい思いをしますよね。そして嘘をつかせることになる。 わざわざ教師が行う公教育の場で、クラスの子の誰かが悲しむかもしれないプログラムを組む必要はないのです。プロ教師は絶対にこういうことを聞きません。安易にきいてはいけないのです。 「他愛のない問い」と思われることこそ、本当にきくべき問いなのかを疑ってみる必要があります。 コトバはそれをつかう本人の意識そのものです。 今月のまとめ 教室でコトバをつかうときは、常に「そのコトバ(指示)が必要か」という俯瞰する目をもって、プロ教師への道を進め! 森川 正樹 関西学院初等部教諭。授業で勝負する教師のためのセミナー「教師の詳細辞典セミナー」講師。国語科の「書くこと指導」「 言葉の指導」に力を注ぎ、「書きたくてたまらない子」を 育てる実践が、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、日本教育新聞などで取り上げられる。県内外で「国語科」「学級経営」などの教員研修、校内研修の講師、学生に向けたセミナー講師もつとめる。著書に『授業の質を上げる 超一流教師のすごいメモ』『どの子も書きまくる!作文指導アイデア』(いずれも明治図書)、教師のためのスケジュール帳『ティーチャーズ ログノート(』フォーラムA)の監修など多数。 *『月刊教員養成セミナー2024年3月号』 『教師力がアップする“教室コトバ”辞典』より 教師になったら即 “使える”コトバを毎月ご紹介。豊富な経験から生まれたコトバたちは心強い味方になってくれますよ。是非ご覧あれ!