一流教師が子どもに「好きな教科」を聞かない理由
コトバ①
NG「好きな教科は何ですか?」
前置き…「教室コトバ」を捉えるときに
連載6回目ですね。後半折り返しなので改めて触れておくことがあります。 本欄で連載している「コトバ」は、私が現在も実際に教室でつかい、反省したり、有効と感じたりしたことを約25年間メモし続けてきた「実感」を伴ったものです。こうした「コトバ」などの教育現場における「技術」「技」に関して、「教室は色々な子がいるからそんなの一概に言えない」とか、「うわべの技術だ」とか言う「評論家」的な意見がありますが、それらは気にしなくていいよ。 これらの技術は、「小さいけれども知っておけば有効」というプロの技です。「これをつかっておけば全てうまくいく」ということではありません。 「教室コトバ」、それは「子どもたちに学びを届けたい」という【意識】です。「子どもたちに安心して学校生活を送って欲しい」という【過程】です。「言葉一つ」にこだわっている結果、「教室コトバ」が生まれている、ということです。 皆さんが念願かなって教師になったら、共に「プロ教師」を目指して歩いていこう。 前置きが長くなりましたが、今回の「コトバ」に入りましょう! 今回のコトバは「ヤケド特集」笑。うっかり振ったり、問いかけたりすると、ヤケドしてしまうようなシーンの「NGコトバ」を取り上げます。
安易に振らない
こんなケースがあります。 生活科や理科、社会科の時間で、調べものをさせるとき。 教師「それでは何で調べますか?」 子供「iPad!」 教師「今回はiPadは使いません。本で調べます」 文字にして読むとすぐに気づくかもしれませんね。「使えないなら聞かなきゃいいのに!」と。そうなんです。この場合、iPadを元々使わせないならば、「何で調べますか?」と聞くのはタブーなんです。だって、もし子供たちから上のように聞かれれば、いきなり「否定」しなければならなくなりますからね。 でもこれ、結構現場ではやってしまうんです。子どもに寄り添う、という感覚が教師の中に刷り込まれているからですかね(それはそれで大事なことなのですが)。でもこの場合は余計に子どもたちに〈濁り〉を与えてしまうことになります。 ですから、先の場合は、教師「今回は、本で調べます」でいいのです。そこで子どもたちから、子供「先生、iPad使ったらだめなんですか~」と聞かれても、教師「今回は本で調べましょう」と答えればいい。