「命の輝きは長さによるものではない」小児がんと戦う子供の"伴走者”「CLS」の知られざる重要性
「国際小児がんデー」の2月15日、FRIDAYデジタルでは、’21年に白血病によって9歳で急死した安藤佐知さんと見守った母・安藤晃子さんの心境の変化を追う記事を公開した。佐知さんの闘病時はコロナ禍だったため、病棟に出入りできる人も極めて限られていたが、そんな安藤さん一家を支えたのが、名古屋大学医学部附属病院小児内科病棟に勤務するチャイルド・ライフ・スペシャリスト(以下、CLS)の佐々木美和氏だった。 【画像】9歳で亡くなった安藤佐知さんが元気なときの姿 CLSは、入院している子供やその家族を支援する。’20年代にアメリカでその取り組みがはじまり、現在では米国小児科学会が「CLSは小児医療に不可欠な存在」と高く評価するほど、小児医療の分野において非常に重要なポストになりつつある。アメリカのこども病院では20、30人ものCLSが働いているほどだ。 ただ、日本ではまだ歴史が浅く、CLSという職業はあまり認知されていないが、徐々にその取り組みが広がりつつある。日本で活躍する50人ほどのCLSのうちの一人である佐々木氏はこう話す。 「ここでは多くの子供が治療に専念するため、半年から1年、2年と長期入院をしています。病院の中だと、子供自身の意志でできることは限られますし、気持ちが尊重されず、自信を失ってしまうこともあります。 それをリカバーできるのが、”遊び”になります。遊びの中では自分の意見が尊重される。折り紙の色を選ぶという行為ひとつも大事なことなのです。医療の中で、自分の思うようにできないので、私との遊びや会話の中では自分で選択する体験を積み重ねられるようにし、自分の気持ちはちゃんと尊重される、と子供たちが感じられるように心がけています。 いろんな場面で声をかけて『あなたのことを大事に思っているよ』ということを伝えるようにしています。自分が大事にされていると感じられることが、子供の安心感に繋がればと思っています」 そして、その”安心感”が、子供たちが治療に向き合う力に繋がると話す。 「例えば手術や検査に行くときに、子供たちが安心して向かえるように、人形などを使って疑似体験してもらうプリパレーション(心の準備のサポート)というものがあります。それをすることで、嫌がりながらも、検査のために自分で服を脱いだり、注射のために、泣きながらも頑張って手を差し出したりしてくれるのです」