健康寿命は平均75歳前後?窮地に陥るまえに親に勧めたい自治体の介護予防&生活支援事業
厚生労働省が発表したデータによると、日本人の健康寿命は男性72.68歳、女性は75.38歳となっています。健康寿命とは、日常生活を制限されることなく、健康に生活できる期間のこと。人生100年時代でいくら平均寿命が延びても、寝たきりでは介護を担う側の負担が増すばかりです。そこで国は、団塊の世代が75歳を迎える2025年を見据えて、何年も前から施策を打ち出してきました。今回の相談者・美沙子さんは、最近そのことを知ったのだとか。話を聞いてみましょう。 【画像】自治体の介護予防&生活支援は何ができる?
年老いた父はスポーツジムに通うべき?それとも?
先日実家に帰った時のこと。歳の割には若いと思っていた父親が、足元がおぼつかなくなっているのを見てショックを受けました。父は今年で78歳。3歳下の母に比べて動きが鈍くなってきたなぁとは思っていましたが、数ヵ月会わないうちに一気に老け込んだ気がします。 父には以前から、「駅前のスポーツジムにでも通って少しずつ身体を鍛えておいた方がいいかもね」と言っていましたが、まったく聞く耳を持ちません。もともとジムなんて通うタイプではないので仕方がないのかもしれませんが、ふと「このまま骨折でもして寝たきりになったら……」と不安になりました。 そんな話を友人にしたところ、「ウチの実家はシニアの健康寿命を延ばそうっていう、高齢者向けの試みが盛んなエリアでね」と言うんです。彼女の実家は千葉県松戸市。どうやら市を挙げて高齢住民が過ごしやすい環境を整えているようで、羨ましくなりました。うちの実家も、そんなエリアにあったら少しは安心できていたかもしれません。 そもそも自治体によってそこまで違いがあるものなのでしょうか。もしなにか両親が参加できそうな、健康に関する取り組みがあれば教えてください。
要介護認定を受けるほどではない人向けの支援とは
相談者の美沙子さんがご友人に紹介されたという松戸市の高齢者向け事業は、「介護予防・日常生活支援総合事業」(通称・総合事業)のことではないでしょうか。 美沙子さんのご両親のように、高齢者だけで暮らす世帯も多くなり、要介護認定を受けるほどではないけれど、何かしらの支援を必要とする高齢者が増えています。このような方々は、訪問介護や通所介護といった介護保険サービスそのものよりも、買い物や掃除などの生活支援や健康増進、社会参加も兼ねた体操教室などへの参加を希望するケースもあります。 そのため、市区町村が主体となって、NPO法人やボランティアなど地域の団体を活用し、高齢者のニーズに合わせてさまざまなサービスを提供できるように、介護予防事業の見直しがされました。