年末年始おすすめの本 今年はミステリーの当たり年『両京十五日』『ビリー・サマーズ』『炒飯狙撃手』など
【花田紀凱 天下の暴論プラス】 このコラムも今年の最終回。 で、今年も年末年始におすすめの本、10冊(番号は順位ではありません)。 今年はミステリーの当たり年だった。 ①『両京十五日 Ⅰ 凶兆 Ⅱ天命』(馬伯庸 早川書房) ②『ビリー・サマーズ』上下(スティーヴン・キング 文藝春秋) この2冊は既に紹介したが『週刊文春』などのミステリー・ベストテンでも上位にランキングされた。 まだ読んでいない人はぜひ。 ③『炒飯狙撃手』(張國立 ハーパーコリンズ・ジャパン) イタリア北西部、リグリア湾に面した小さな村で炒飯専門テイクアウトの店をやっている小艾(がい)は実は台湾の潜伏工作員。 ある日、命令を受けローマで1人の東洋人を狙撃。が、村に戻ると、何者かに襲撃され、一転追われる身に。 一方、定年直前の台湾の老刑事老伍は台湾で発生した海軍士官と陸軍士官の連続不審死を追っていた――。2つの事件を結ぶ巨大な陰謀とは。 主人公小艾が折りにつけて作る炒飯が実にうまそう。 ④『愚者の街』上下(ロス・トーマス 新潮社) やや、とっつきにくいのだが、読み了えると改めてこの小説の凄(すご)さがわかる。 元秘密諜報員、ダイが命じられた任務は「街をひとつ腐らせること」。 賭博や買春を黙認し、賄賂を受け取る警察や市の要人たちを次々と排除していく。だが、弱体化した街には各地のマフィアが群がり、凄惨(せいさん)な悪党どもの共喰いが始まる――。 ⑤『破れざる旗の下に』(ジェイムズ・リー・バーク 早川書房) 舞台は南北戦争時代の南部ルイジアナ。優勢な北軍、撤退する南軍、奴隷解放を掲げるゲリラ組織が入り乱れていた。 決闘で傷ついた傷痍(しょうい)軍人、叔父の農園主、殺人容疑をかけられた美しき女性奴隷、奴隷廃止論者の女性活動家、梅毒に侵された南軍の大佐……。 悲惨極まるが、感動的な物語。 但し、エピローグには疑問。