年末年始おすすめの本 今年はミステリーの当たり年『両京十五日』『ビリー・サマーズ』『炒飯狙撃手』など
以下はミステリー以外。
⑥『東京降りたことのない駅』(本橋信宏 大洋図書)
アンダーグラウンドシリーズや『全裸監督 村西とおる伝』など、本橋さんの本は愛読しているが、これは編集者として「やられた」と思った。
たしかにぼくも、子供の時から東京で生活して多くの私鉄、JRを利用しているが「降りたことのない駅」は少なくない。人間の行動範囲は結構狭いものなのだとこの本で知らされた。
西武新宿線都立家政駅から始まってJR常磐線三河島駅、京成押上線京成立石駅などなど。本橋さんと編集長、カメラマンの3人が、実際に「降りたことのない」駅で降り、周辺の街を歩いてルポする〝小旅行〟。
一仕事終わった後の一杯も楽しそうだ。
⑦『がん征服』(下山進 新潮社)
平均余命15カ月。手術や抗癌剤、放射線治療でも治せない悪性脳腫瘍「膠芽腫」をとっかかりに、原子炉・加速器を使う最新療法、光免疫療法などがん治療の最前線を徹底取材したノンフィクション。
いつもながら下山さんの取材力には頭が下がる。この作品が大宅壮一ノンフィクション賞など、各社ノンフィクション賞の候補にも挙がらないのは疑問。
スペースの関係で、⑧⑨⑩略。 (月刊『Hanada』編集長・花田紀凱)