上沢直之の日本復帰で古巣の日本ハム以外の可能性も ポスティング移籍に球界関係者が提案する新たなルール
■オープン戦で結果出せず開幕前に移籍 だが、上沢は3カ月も経たずにレイズを退団する。オープン戦に4試合登板で0勝1敗、防御率13.03と結果を残せず、開幕メジャーを逃すと、3A合流を選択せずにオプトアウトを行使して他球団との契約を模索。開幕前に金銭トレードでレッドソックスに移籍した。4月下旬にメジャー昇格して救援で2試合登板したが、5月上旬にマイナー降格。3Aで13試合登板して3勝3敗、防御率6.54とアピールできず、7月以降は登板機会がなく退団した。 米国で取材する通信員はこう振り返る。 「上沢は多彩な変化球を操り、打者を打ち取るタイプ。三振奪取能力が高いわけではないので、米国で通用するか懐疑的な見方が多かった。来年メジャーを目指す道を選んでも、正直厳しいと思います。気になったのは、何が何でもメジャーの舞台で投げるという執念が伝わってこなかったことです。もちろん必死でしょうし、内に秘めるタイプかもしれませんが、米国になじんでいるように感じられなかった。言葉の通じない異国で単身赴任だったので、いろいろストレスを抱えていたのかもしれません。メジャーの舞台に挑戦したことは野球人生で大きな価値があると思いますが、来年は日本球界でプレーするのが現実的だと思います」 昨オフにDeNAからポスティングシステムで移籍した今永昇太(カブス)は1年目から15勝と大活躍したが、日本で実績十分の投手がメジャーで通用するとは限らない。今季14勝で最多勝に輝き、ソフトバンクの4年ぶりのV奪回に貢献した有原航平もその一人だ。日本ハムでエースとして活躍したが、20年オフにポスティングシステムで移籍したレンジャーズでは度重なる故障も影響して、2年間在籍で通算3勝のみ。22年オフに日本球界に復帰し、3年12億円の大型契約でソフトバンクに入団した。 日本ハムOBは複雑な表情を浮かべる。 「現行ルールでは、ポスティングシステムでの移籍を認めた球団に、必ずしも高額の譲渡金が入ってくるとは限らない。上沢はわずか1年米国でプレーした後にNPBで争奪戦になっている。感情論になりますが、わずかな譲渡金でメジャー挑戦を認めた日本ハムに復帰するのが筋じゃないですかね。移籍先の球団を選ぶのは選手の権利だと言われればそれまでですが、ポスティングを認めた球団が損をしないルール整備が必要だと思います」