ロ軍が東部で大規模攻撃に相次ぎ失敗 消耗で攻勢鈍化、ウクライナ側も余裕なく
消耗や戦線拡大で戦力に余裕がないのはロシア側だけではない
もっとも、ロシアによる戦争拡大から2年7カ月ほどたつなか、過度の拡張を強いられているのはウクライナ軍も同じだ。ウクライナ軍は、東部の防勢作戦とクルスク州の攻勢作戦を同時に進めるのに十分な人員や装備を確保するのに苦慮している。 東部の前線には先月、ウクライナ国家親衛隊の複数の新鋭旅団が増援に送られ、戦線の安定化に寄与した。ただ、国家親衛隊の完全装備の攻撃旅団はほんの数個しかなく、現在はすべて戦闘に投入されている可能性がある。 たしかに、ウクライナ陸軍は新たに14個の旅団の編成を進めてはいる。これらの新編旅団は、1年以上戦闘を続け、切実に休息を必要としている既存旅団との入れ替えで東部に送り込まれるかもしれない。この点でとくに注目されるのは、1年3カ月にわたり休みなしに戦い続けていた精鋭の第47独立機械化旅団が、今月上旬ようやく東部の接触線を離れたことだろう。 だが、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領はCNNによる最近のインタビューで、必要な現代的装甲車両は14個の新編旅団のうち4個旅団分しか確保できていないと語っている。これらの旅団は傷ついてはいないが、脆くもある。 ドネツク市の西方でウクライナ側の防御線に人員や装備をやみくもに投入しているロシア軍は、たとえるなら、血まみれになり体力も落ちてきているが、タップアウトを拒むボクサーのような状態にある。ウクライナ軍には、疲弊した相手に対して強力な一撃で反撃するチャンスがあるかもしれない。だがそれは、ウクライナ軍も同様に疲弊していなければ、の話だ。
David Axe