センバツ逃した済美 右ひじ痛だったエース安楽投手の現在
中でも、ワールドカップでの登板は気になるところ。滑るボールに対し、「みんな苦戦してましたけど、自分は大丈夫だった」と安楽は振り返ったが、無意識に強くボールを握っていた可能性は高い。 ■メジャー挑戦の際に“障害”となる滑るボール メジャーに挑戦する日本人投手の多くも、春のキャンプで滑るボールへの対応に苦労する。彼らも初めは「気にならない」と言うが、気づくと、ヒジに張りを感じるようになる。それは投手だけではなく、青木宣親や城島健司といった野手でさえ1年目のキャンプでは、違和感を訴えていたと記憶する。 そんな選手の一人だったマリナーズの岩隈久志は言っていた。「無意識のうちにボールを強く握ってしまっているから、そうなるんでしょうね」 岩隈の場合、幸か不幸か、開幕してから登板間隔が開いたので、その間に回復した。しかし一方で、藤川球児、和田毅は、同じような張りを感じた後、そのまま投げ続け、最悪のケースを辿った。あの時、米メディアの多くは、日本での“勤続”疲労が原因だと捉えたわけだが、果たしてそれだけが要因だろうか。 岩隈とこんな話をしたことがある。ボールの違いによる故障を防ぐために、日本もメジャーのボールに変えたらどうだろうかと。すると、彼は即座に指摘した。 ■メジャーのボールに変更すれば投手全員が故障する 「そんなことしたら、日本のピッチャーがみんなケガしちゃいますよ」 彼に言わせれば、ボールの違いは、それぐらい神経質な問題ということのよう。 話を安楽に戻せば、最初に違和感を覚えたのは、途中降板した試合(9月22日)の「1週間ほど前」のことだったという。台湾から帰ってきたのが9日なので、タイミング的にはやはり、ワールドカップでの影響が疑われる。 こうなると、選ばれていなければという見方も出来るが、そのワールドカップでは得たものがあるというから、否定ばかりも出来ない。安楽は言う。 「今まで、新球種を練習で使うのを恐れてました。打たれるのがどうしても嫌で。でも、日本代表に参加したとき、新しい球種を覚えるのは、まず打たれてからじゃないと投げられない、と教えられたんです」