【横山杯】前橋育英、横山杯で新チームでトップ入りし活躍を期する選手が躍動
横山杯第25回全国ユース招待サッカー大会の1stトップは、前橋育英(群馬)が桐光学園(神奈川)との決勝対決を1-0で制し、6度目の栄冠を獲得した。トップチームは第103回全国高校選手権に出場しているため、新チームでトップ入りし活躍を期する選手が躍動した。 【フォトギャラリー】前橋育英 vs 桐光学園 前橋育英は予選リーグ第4グループを3連勝で首位通過すると、決勝第1グループも2勝1分けでトップに立ってファイナルに進んだ。 トップチームと同じく4-2-3-1の陣形で、右の坪井蒼季と左の水野楽生(ともに2年)両SBがアグレッシブに攻撃参加。ボランチ中川希汐(2年)が旺盛にボールを要求し、的確なパスとドリブルで攻撃の起点となる。2列目の3人が積極的に仕掛けてゴール前に顔を出す。決勝では左の韮澤海成(1年)のドリブル突破が特に光った。大柄な1トップが最終パスのターゲットとなってゴールに絡む。このチームでは山西智也(2年)だ。 戦い方や選手の適正に沿ったポジション配置は、トップチームと全く同じだった。 大会3日目まで、1年生で唯一全国選手権の登録メンバーに名を連ねたFW立石陽向が出場していたが、3日目の最終戦が終わると翌日の開会式に参加するため、チームを離れた。 そこでサテライトチームから引き上げられたのが同じく1年生のFW瀬間飛結だ。 桐光学園の決勝は一進一退の攻防を繰り広げた。ともに無得点で前半を折り返し、後半も互いに高い守備力を生かして相手にビッグチャンスを与えない展開が続いた。 瀬間が投入されたのが後半20分。その5分後に“ニューカマー”が決勝点を挙げるという、ドラマ仕立てのようなシーンが訪れる。 ボランチの高林馳矢(2年)が送ったロングパスが相手に当たり、こぼれ球へとっさに反応した瀬間が左から軽やかなドリブルで運んだ。前に出てきた189センチの大型GK斎藤准也(2年)の位置を冷静に確認し、ゴール左に蹴り込んだ。 「キーパーとの1対1は少し緊張しましたが、いいタイミングでキックできたと思う。合流したばかりなので何とかアピールし、得点や活躍することしか考えていませんでした。立石の存在は刺激になり、自分も来年はトップチームに上がれるように頑張りたいです」 横山杯で指揮を執ったのがサッカー部コーチで、全国選手権の引率教員でもある櫻井勉さんだ。社会人チームで5年間プレーした後、オシム監督がいた頃のJリーグジェフユナイテッド千葉の育成部に3年在籍した。30歳で前橋育英に着任し、今年で18年目となる。 櫻井コーチも「この遠征を通じて少しでも成長し、選手権のメンバーに入れなかった悔しさをはね返してほしい。選手のいい面を伸ばし、長所を引き出すことが私の大事な仕事です。もやもやしている選手を育てて上に引き上げる立場にいます」と述べた。大所帯の強豪チームにあって、極めて重要な役回りであることが伝わってきた。 MVPを獲得したのがチームで唯一、7試合フル出場した主将の坪井だ。やはり選手権のメンバーから漏れたことは悔しく、来年の捲土重来を期している。「体力面には自信がありますし、相手の出方によって柔軟に対応方法を変えられるのが自分の強みです。来年こそトップチームで頑張りたいですね」とはっきりした口調で誓った。 (文・写真=河野正)