パリ発の「ノダレト」、プロダクト主義でラグジュアリーシューズに挑戦
シューズに囲まれて過ごした幼少期
WWD:シューズブランドを始めた理由は?
トレダノ:いろんなプロダクトの中で、特に惹かれるのがシューズだった。なんでシューズが好きなのかは、説明ができないわ。まるで誰かに恋した時みたいな、感覚的なものなの。私のミューズの叔母さんが熱心なシューズ収集家だった影響も大きい。よく小さい頃にお母さんの化粧道具でメイクをして遊んだ人もいるでしょう。私の場合は、叔母さんのシューズがそれだったの。パーティーに出かける時、彼氏と別れた時、人生の良くも悪くも特別な瞬間には必ず新しいシューズを買うのが習慣だったくらい。
WWD:人生で最初に履いたラグジュアリーシューズは?
トレダノ:「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」。15歳の頃で、テストで良い成績を取ったご褒美に母親がプレゼントしてくれたの。もうあんなに高いヒールは履けないけど、今も私のコレクションの一部。将来は娘に譲りたいと思っている。
WWD:お気に入りのシューズブランドは?
トレダノ:「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」。私が初めて自分のお金で買ったラグジュアリーブランドも「マノロ ブラニク」だった。人々との心を刺激するデザイン、創業時から変わらないシューズへの愛というブランドの歩んできたストーリー自体に惹かれる。映画「セックス・アンド・ザ・シティ」で登場する「マノロ ブラニク」は、シューズの枠を超えたアート作品だと思う。
父から教わったのは「一にも二にもプロダクト」
WWD:父シドニー氏から教わった、今日ラグジュアリービジネスに必要不可欠なものは?
トレダノ:父がいつも言っているのは、「一にも二にもプロダクト」。工場に行って、モノが生み出される拠点を見ること、作り手と直接会話することが何よりも大切だと教わった。私がシューズブランドを始めたいと言った時には、「ファッション産業で最も難しい製品だぞ」と言われたわ。時には100以上の部品から作られるシューズのクラフツマンシップはごまかせないから。学生を卒業した24歳の頃、これから何をしようかと悩んだ時に、まずイタリアのシューズ工場を巡ったの。そこで見聞きした知見が今の「ノダレト」のベースになっている。完璧な製品ができたら次にどう売るか考え、その後お客さまとどうコミュニケーションを取るか。もちろん全てのステップが平等に大事だけど、組み立てていく順番はこういうふうに教わった。