「コンピューター苦手」で廃業の高齢医師も『マイナ保険証』に医師ら集団提訴 仲間の廃業に疑問抱く医師
■ランニングコストは「数万円」にも 壊れたら補助金は?
毎月、カードリーダーの保守点検料をメーカーに払っているのですが、疑問に思うことがあります。 カードリーダーという読み込む技術を持っている電機メーカーはたくさんあると思うのですが、なぜマイナ保険証のカードリーダーは、3つか4つのメーカーしかないんでしょう。非常に疑問です。 そしてなぜこんなに高いのか。導入にはカードリーダーだけでなく、専用端末や整備費用などで40万以上かかります。その上、毎月、保守点検料などを支払わなければいけないのです。 (※千葉県保険医協会によると、回線使用料やルーター使用料、保守点検費などで、毎月のランニングコストは1台あたり1万円台~数万円に及ぶという。) それに、10年、20年先ももつのか分かりませんよね。壊れて新しい機械を導入した時に補助金は出るのか?この先、どうなっていくのか分からないから、みんな不安なんです。
■デジタル対応に苦心 スタッフ雇おうにも地方に人がいない
今、地方の個人診療所の負担はとても大きいです。 僕はもうすぐ68歳で、妻と助手と3人で、歯科医院と訪問診療をやっていますが、オンライン資格確認の対応に苦労しています。 「できなかったら人を雇えばいいでしょ」と言われますが、そんな簡単な話ではありません。都心の大病院ならなんとかなるかもしれませんが、地方は人手を集めることも大変ですし、そもそも、このために人を雇う余裕はありません。 マイナ保険証を使うと、保険の点数が少し(100円以下)上乗せされるのですが、僕の患者さんは、マイナ保険証を作っていない人がほとんどですから、この先、マイナ保険証の上乗せ点数が、保守点検料を上回ることはまずないだろうなと思います。 高齢化が進む地方は、どこもこのような感じでしょう。国は、地方のことをどれだけ考えてくれているのかなと思います。
■「患者のための時間」医師はやるべきことがたくさんある
医師とか歯科医師はもっとやるべきことがたくさんあるんです。 新しい知識を学んで、技術を高めて、実践して患者さんに返していくことが、本当の医療なんじゃないのかなって僕は思うんです。 僕の患者さんは高齢者が多いので、入れ歯をたくさん作るのですが、「今まで本当に満足した入れ歯を作ったことがあるか?」と問われたら、正直、ないです。 もっといいものができるかもしれない、もっともっとって思うし、本当はそういうことに研鑚していくべきなんじゃないかなと思います。 毎年、何人か看取るのですが、「もうちょっと食べさせてあげたい」と思っているうちに亡くなる人もたくさんいます。だんだん痩せてきて、機能が落ちてきて、口の中が凄く乾くんです。老人って。 僕たちは「食べられる口」を作ってあげないといけない。ひとりひとり状態が違うので、数多くの患者さんを診て、成功も失敗もたくさん経験しなければいけないんです。