どうなるセブン&アイ 創業家と外資が買収提案
セブン&アイ・ホールディングスを巡る買収劇が新たな局面を迎えた。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから7兆円規模で傘下入りを突き付けられたセブン&アイは、対抗策として創業家を中心とした経営陣による自社買収(MBO)の検討に入った。背景と今後の展開を探った。 【ひと目でわかる】セブン&アイHDの買収を巡る構図 ―アリマンタシォンはどのような会社か。 米国や欧州など約30カ国・地域で、「クシュタール」「サークルK」のブランドで約1万7000店舗を展開する。M&A(合併・買収)を繰り返して成長を遂げてきた。 ―セブン&アイを狙う理由は。 セブン&アイは、米国での店舗数シェアがトップ。アリマンタシォンは2位で、統合すれば米国で10%を超える店舗網を形成できる。セブン&アイの高品質な食品分野も高く評価している。 ―セブン&アイの対応は。 7月に約6兆円の買収提案があった際は、「当社の本源的価値を著しく過小評価している」と指摘。米国の独占禁止法違反を回避するための説明も不十分だとして拒否した。アリマンタシォンはすぐさま価格を1兆円引き上げて再提案。セブン&アイは10月に非コンビニ事業を早期に切り離すと表明。経営効率化を進め、企業価値を高めて対抗する手段に出た。ただ、株価は思うように伸びず、こうした中でMBOが新たに浮上した。 ―今後の展開は。 MBOは、セブン&アイの大株主で創業家の資産管理会社である伊藤興業(東京)が提案した。株式を非上場化して買収を回避する狙いだ。問題は9兆円規模ともされる巨額資金の調達先。メガバンクや投資ファンドなどが検討されているが、実現には説得力のある成長戦略が必要だ。アリマンタシォンが再び提示額をつり上げたり、合意がないまま買収に踏み切ったりする可能性もある。