イチから分かる「文官統制」と「文民統制」、何が違うの? 何が問題なの?
「文官統制」をなくすための法改正が行われると報道されています。しかし「文民統制」と「文官統制」の言葉は似ているだけに、どこがどう違うか、よく分かりませんね。どういうこと? 「文民統制」とは、シビリアン・コントロールのこと。選挙で選ばれた国民の代表=総理大臣が、軍隊・自衛隊を統率する力を持つという政治の制度です。軍人が軍を統率すると戦争をしやすくなるので、それを避けるための制度だと、高校でも習いました。 一方、「文官統制」は、防衛省の事務次官や局長など、軍人ではない文官(背広組=官僚)が大臣を補佐する仕組みです。防衛省設置法12条が、文官が優位とされる根拠となっていました。 今回の法改正は、この仕組みを廃止して、自衛隊の制服組(現場トップ)と背広組(事務方トップ=官僚)が対等に首相や防衛相を補佐できるようにし、自衛隊との距離を縮めて、自衛隊の即応体制を可能にする狙いがあります。 何も、政治制度としてのシビリアン・コントロールをなくそうという話ではありませんが、「文官統制」が廃止されることにより、軍部=自衛隊への統制が弱くなるのではないかという指摘が出ているのです。