豪雨災害の原因を気候変動になすりつけ、失敗認めずダム建設にしがみつく治水行政の背信
■ ダムに明け暮れ水道管のメンテナンスは後回し 石木ダムのもう一つの目的は、佐世保市の水道水だが、同市内では水道管の老朽化で、1日あたり約4万4000人分の生活用水が漏水していることを住民団体「石木川守り隊」が明らかにしている。少子高齢化で水需要は増えない中、水道管のメンテナンスが後回しになっているのだ。 長崎県は、佐世保市のこの状況を顧みることなく、石木ダム建設のために、立ち退きを拒否する世帯の強制代執行さえ辞さない構えだ。 人口減少、特に労働人口減少時代にあって、命を水害から守るにはダム建設より優先させるべきことは治水でも利水でも他にある。気候変動時代にあっては、ダム治水は必ずしも住民の安全を確保しない。 川の中だけで治水を完結させようとする「基本高水」治水からは脱却すべきだ。 それどころか、雨畑ダムのように、土砂が溜まって用をなさないダムすらある(≪地方紙が見せた調査報道の矜持、記者が語る静岡新聞「サクラエビ異変」の裏側≫で既報)。 講演では、そんな取材者としての実感も含めてお話をした。
まさの あつこ